【昭和レトロな腕時計、ポストヴィンテージの名作に浸る】天才時計師ダニエル・ロートの代表作“スポーツ クロノグラフ”
“ダニエル・ロート”は、ブレゲの再来といわれるほどの天才時計師ダニエル・ロートが1989年にスイスのジュネーブにて興したブランドである。 【画像】独創的なケースやエル・プリメロ400のメカニカルな造形を見る 長らく独立時計師として活動してきた同氏が立ち上げたシグネチャーブランドだが、自身は97年にブランドを離れて“ジャン・ダニエル・ニコラ”という別のブランドを設立している。ブランドとしての“ダニエル・ロート”は2000年末にブルガリ社に売却され、その後ブルガリがLVMHの傘下に入ったため、現在はラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトンに属して再始動を図るという複雑な経緯を辿っている。 そんな流れの中、オリジナルの“ダニエル・ロート”ブランドにおける最初の6年ほどの間に製作されたモデルが、昨今コレクターの間で人気が高まっている。ロートが真のインディペンデントブランドを運営していた1980年代後半から90年代半ばまでがそれに該当するというわけだ。
DANIEL ROTH(ダニエル・ロート) スポーツ クロノグラフ 今回取り上げたスポーツ クロノグラフもこの時期に該当するモデルだ。ダニエル・ロートを広く特徴づけたのは、オリジナルのデザインであるダブルエリプスケースだが、本作はこの唯一無二のケースとクロノグラフの組み合わせが印象的だ。 ブラックを基調としたシックな文字盤にはギョーシェ装飾が施され、手作業により鋭利な先端に仕上げられたクロノグラフ針、立体的な造形の時計針、インダイアルのカウンター針などが魅力を引き立たせている。
ムーヴメントはゼニスが誇る、3万6000振動の自動巻きクロノグラフ“エル・プリメロ400”を搭載。エル・プリメロのなかでも最もスタンダードなムーヴメントだが、89年に誕生したエル・プリメロの特徴を忠実に再現した機械として評価される名機である。 細かいディテールは画像ページを参照していただきたい。デザインはもちろん、機能面でも時計師ダニエル・ロートのこだわりが感じられる名作と言えるだろう。