訪問看護師は見た!「夏子ちゃん、お水のむ?」と89歳の母親を「ちゃん付け」で呼んで、甲斐甲斐しく在宅介護をする「マザコン息子」の正体とは...
高齢化が進む日本では、介護施設の増加とは別に、在宅介護の需要も上昇している。しかし、献身的な介護者であるほど陥りやすい穴があるのも事実だ。 訪問看護師は見た! ヤバい奥さまの「夫をその日までは生かして!翌日以降は結構です」という「勝手な言い分」とまさかの「財産分与」。そのワケは... 危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏は、在宅介護についてこう話す。 「常に被介護者を見続けないといけない在宅介護は、それだけで心身の疲労やストレスは相当なものになります。そのため、過労で体調が不安定になってしまうケースも珍しくありません。 訪問看護やデイサービスを上手に利用して、被介護者もそうですが、まずは介護者側が心身ともに安定していることが大切です」 今回お話を伺ったのは、訪問看護師として数年働いている女性、石川紗奈さん(仮名・30歳)だ。 ちょうど、昨年の冬に入った頃、主任から「夏子さんっていう認知症の女性なんだけど、担当してくれる?」と聞かれたという石川さん。 夏子さん(仮名・89歳)は長年認知症を患っており、自宅で介護を受けながら過ごしていた。しかし、ある日ベッドから転落し足を骨折。ほぼ寝たきりの入院生活で、認知症の症状が進んでしまった。 そこで、かかりつけのクリニックへの通院が難しくなると判断したご家族が、今後は自宅で治療を受けながら過ごしたいという本人の希望もあり、訪問看護の導入を決めたという。
石川さんが初めて自宅を訪れた際、玄関で出迎えてくださったのは、60代ほどの男性だった。 「今回はありがとうございます。これからは通院の心配もなく家で過ごせると思うと、夏子ちゃんも僕も嬉しいです」と笑顔で話す男性。 「ん?夏子ちゃん??」 石川さんはその呼び名に強い違和感を覚えた。 小さい子供が母親のことを「ちゃん」付けすることはない話ではないが、流石に60代の息子が母親をそう呼ぶのは、あまり聞いたことがない。 「もしかしたらこの息子、すごいマザコンかもしれない......」 一般的にいう「マザコン」の息子は、石川さんの経験上、決して少なくはないという。 「僕のお母さんは死ぬはずありません! なんでもっと良くしてくれないんですか! 医者は人の病気を治すのが仕事でしょ!」 息子がそう言って訪問医に詰め寄る現場を、実際に石川さんは、何度か見たことがあるという。 「人はいずれ必ず亡くなります。でも、自分の親に限っては永遠に、若い頃のように元気で自分を守ってくれる。そう信じて疑わない息子さんたちが、一定数いらっしゃるんです。」 そのような「マザコン」の息子は、介護のために仕事を辞めている場合が多く、亡くなった後に親の年金が途絶えることで、経済的に困窮してしまうケースもある。 「ずっと元気でいてほしいという理由が、自分の今後の生活費のため、というケースもあるので色々考えてしまいますよね」 そう、石川さんは、ため息をつきながら話してくれた。 「夏子さんの息子さんも、マザコンかぁ......これは対応が大変だ」 そう思いながら、改めて必要書類を確認していると、家族の続柄に記載されていたのは、「息子」ではない、驚愕の事実を目の当たりにしてしまった...。 息子の正体とその後の献身的な介護については、後編で詳報する。 取材/文 山村真子 PHOTO:GettyImages
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