“韓国のあいみょん”から「歌王」チョー・ヨンピルの11年ぶりのアルバムまで…2024年リリースの聴き逃せない韓国大衆音楽20選<後編>
17. The Deep「Sad Girls Club」
エレクトロニック・ポップを届けるThe Deepは、韓国より海外でより多くの注目を集めている女性アーティストだ。きらめくガーリームードに満ちたタイトルからも想像できるように、このアルバムは女性たちだけのパーティーを思い起こさせる。キッチュなメロディとダンサブルなトラックの調和は、The Deepの成功の方程式とも言える。MVでは、ソウルのストリートフードを楽しむシーンから女性だけのホームパーティーへと続く構成が、アルバムのテーマとカラフルな世界観をストレートかつ愛らしく表現している。
18. B-Free, Hukky Shibaseki「INDO」
2024年リリースされたアルバムの中で、韓国のヒップホップファンの間で最も大きな反響を巻き起こした作品は、ラッパーB-FreeとプロデューサーHukky Shibasekiによるコラボ・アルバムだ。サンプリングをベースにしたHukky Shibasekiのロウなブーンバップビートは、特有のウィットに富んだ直感的なリリックを肩の力を抜いて吐き出すB-Freeのラップと完璧にマッチしている。タイトルは「人道」の韓国語発音に由来しており、ソウルの街を歩いたことがある人なら、誰もが共感できる歌詞も大きな魅力のひとつだ。
19. Q the trumpet「gut」
Q the trumpetはトランペッターであり、シンガーソングライターとしても活動している。前編で紹介したO'KOYEのアルバムをはじめ、Crushやペク・イェリンなど、数々のアーティストの作品に参加していることでもよく知られている。「自分自身を研究する」というテーマを掲げたEP『研究日誌 2』に収録された「겉(gut)」のタイトルは、日本語で「上辺」を意味する。飾られた上辺の中に隠れた、本当の姿を見られたくないという率直な内容が込められている。ライブ動画では、彼のソウルフルなトランペットの演奏もたっぷりと堪能できる。
20. チョー・ヨンピル「그래도 돼(それでもいい)」
韓国で「歌王」と称されるチョー・ヨンピルがリリースした20枚目のフルアルバム。1969年にデビューし、55年間にわたり活動を続けている彼は、1980~90年代初頭に日本でも活動し、『紅白歌合戦』に4年連続で出場するなど、大きな人気を博した。本作は、彼の華やかなキャリアを締めくくる最後のアルバムになるという。NewJeansとのコラボでも知られるDolphiners Filmsが手がけた感動的なMVには、映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』や『グエムル 漢江の怪物』のシーンが挿入されており、豪華なキャストも見どころだ。 soulitude 日韓の大衆音楽事情を専門とするライター。日韓の音楽にまつわる記事の執筆やキュレーションなど、コンテンツ制作を行う。2022年から韓国大衆音楽賞とKorean Hiphop Awardsの審査員を務める。
文:soulitude