認知症の将来推計が大幅低下? 健康意識の高まりと生活習慣病コントロールに活路あり
発症を先延ばしにする
同様の傾向は、欧米諸国でも見られるという。 「欧米諸国の疫学調査では、認知症の有病率、り患率が低下した要因として、教育歴などの社会経済的な要因、高血圧や糖尿病、脂質異常などの疾患管理の改善、喫煙率の低下、身体活動の推進が挙げられています。しかし、カナダやフランス、ドイツ、イタリア、オランダでは、認知症の有病率やり患率が上昇しているという報告もあり、各国の社会的背景や健康状況や調査の方法・精度により、その傾向は一致していません。ですから、今後の各国の疫学調査の成績が待たれます」 いずれにしても、今回の調査成績では、日本の認知症有病率は2012年の調査時に比べて低下傾向にあるとのことだった。 「認知症は老化に伴う疾患ですので、誰もがり患するリスクがあります。そもそも認知症人口が増えたと言われ始めたのは寿命が延びたからであり、年齢を重ねれば誰だって認知機能は衰えます。ですから、いかに発症を先延ばしにするかが大事で、そのための行動をしっかり取っていかねばなりません。 高血圧、糖尿病をはじめとする生活習慣病の管理ができるようになった結果、認知症の有病率は下がりました。しかし、最初から生活習慣病にならないように行動を改めるなど、できることはまだまだあります。さらなる高齢化社会に向けて、若いうちから意識を高くして、認知機能をキープする暮らしを送るのが大事です」 認知機能をキープするための具体的な方法については、次回から、二宮先生とさらに国立長寿医療研究センターの桜井先生にお伺いしていく。(続く)
にらさわあきこ