GraphRAGとは何かを解説、従来型RAGとの違いは?活用手順もイチから紹介
生成AIが誤った回答を生成する「ハルシネーション」を防ぐ技術として注目されているRAG(Retrieval Augmented Generation)だが、完全に誤った回答を防ぐには至っていない。そうした中で現在、RAGよりもさらに正確で文脈に即した回答を可能にする「GraphRAG」に期待が集まっている。「グラフデータベース」と呼ばれる技術を活用し、従来型のRAGより正確性が50%以上増加するとのテスト結果もあるGraphRAGの特徴について、グラフデータベースの代表的サービスであるNeo4jを用いた実際の活用方法と併せて詳しく解説する。 【詳細な図や写真】グラフデータベースの代表的なサービスであるNeo4j(Photo:T. Schneider / Shutterstock.com)
「グラフデータベース」とは何か?
大規模言語モデル(LLM)とベクトルデータベースを活用したRAGシステムは、ハルシネーションリスクに対する有効なソリューションとして注目を集めてきた。 しかし、そのRAGでも、ハルシネーションを完全に排除するまでには至っていないのが現状だ。 そうした中で、現在注目されているのがグラフデータベースである。 この技術自体はそれほど新しいものではなく、2000年代に登場してソーシャルメディアの発展に伴い関心を集めたが、それ以降は特に脚光を浴びることはなかった。 しかし、2023年以降、RAGシステムの試行が増えるに伴い、その課題が明らかになる中で、グラフデータベースを用いたアプローチへの期待が集まりつつある。 グラフデータベースとは、データをノード(点)とエッジ(線)を使って表現し、データ間の関係性を管理するデータベースのことだ。グラフデータベースの特徴は、複雑なデータ間の関係を効率的に検索し、適切な情報をLLMに供給できる点にある。 グラフデータベースの代表的な例として、2007年にリリースされたNeo4jが挙げられる。 Neo4jは、ノードとエッジを使ってデータを表現しつつ、特に複雑な関係性を高速にクエリするために設計されている。 Neo4jのGDS(Graph Data Science)ライブラリは、ベクトル類似性の検索や、埋め込みモデルとの連携に強みを持っており、これがLLMと組み合わせる際の実用的なアプローチとして再評価されている。従来のリレーショナルな検索ではなく、ノード間の関係を活用した検索や、グラフベースの知識管理が強化されることで、より効率的なデータ検索やRAGの実現に寄与している。