「80代男性、自宅近くの介護付有料老人ホームの入所を断られた!」NGになった理由とは?施設別入所条件と断られたときの対処法を専門家が解説
ケース2. 医療的ケアに対応できない
日常的に医療的ケアを必要とするかたが入所を希望しても、施設が必要なケアを提供できないと判断した場合、入所を断られることがあります。 具体的には、喀痰(かくたん)吸引や経管栄養の管理が必要なかたなどが挙げられます。 2012年から、一部の医療的ケアについては、一定の研修を受けた介護福祉士でも行えるようになりました。しかし、すべての施設で対応しているわけではありません。 また、看護師が配置されている施設であれば受け入れてもらえると考えがちですが、実際はそうでないこともあります。 看護師が配置されている施設でも、看護師の勤務時間が日勤のみというところも少なくありません。そのため、看護師不在の時間帯に医療的ケアが必要なかたは、受け入れを断られることがあるのです。
ケース3. 保証人・身元引受人がいない
保証人や身元引受人がいない場合にも、入所を断られることがあります。 保証人は、入所者本人の支払いに関する連帯保証を担います。一方、身元引受人は、病気やけがといった緊急時の連絡窓口であり、入所者本人の判断能力が低下した際に意思決定をする責任者となります。さらに、本人が亡くなった後の身柄の引き取りや所持品の引受人、各種手続きを行うのも身元引受人の役割です。 これらの役割を担う人がいない場合、施設の経営面や緊急時の対応に支障が生じる可能性があるため、入所を断ることがあるのです。 冒頭のAさんは、長年一人暮らしで結婚歴のない「おひとりさま」でした。身近に保証人や身元引受人をお願いできる親族がいなかったことが、入所を断られた理由だと考えられます。
ケース4. 認知症の症状が重い
認知症の症状が重い場合も入所を断られることがあります。 認知症による暴言や暴力、夜間の大声などの症状が見られると、ほかの入所者に迷惑をかける可能性があるためです。施設側は入所者全員の安全と快適な生活環境を保つために、入所を断ることがあります。 また、比較的元気なかたを対象とした施設では、認知症に対応できる専門スタッフや人員が配置されていないことがあります。そのような施設では、十分な介護体制が整っていないため、入所を断ることがあるのです。