ダイヤモンドの安全・安心ってなに? 日本ブランドが挑む「Mine to Mine」
■ダイヤモンドが雇用促進 地域社会の発展に貢献
サザンアフリカ地域に根ざしたダイヤモンドの原石調達・研磨という一連のプロセスによって、現地の雇用を生み出し、関連産業を通じて地域住民の生活水準向上に大きく貢献している点も特筆に値する。浦田さんは、サバースの継続と成長こそが現地への持続可能な貢献につながると強調する。 「サザンアフリカの大地で調達できたダイヤモンドは大粒で真にハイクオリティー。長年ダイヤモンドビジネスに従事してきた私たちですら、その輝きの素晴らしさに感嘆するほどでした。この聖地から生まれたダイヤモンドの美を享受することは、地域社会の発展への責務も伴います。2011年頃よりボツワナ共和国の首都ハボローネにあるファクトリーとも提携し、ボツワナでも雇用を促しています」
■アフリカ南部で研磨 一貫した工程で透明性を確保
2021年には、日本のダイヤモンド業界で初にして唯一のWDC(World Diamond Council /ワールドダイヤモンドカウンシル、本部は米ニューヨーク)加盟企業となり、コンフリクトダイヤとは無縁である世界的な証しを得た内原グループ。サバースにおいて実践されている安心かつ安全な責任ある生産プロセス、サザンアフリカの地からエンドユーザーまでの徹底したトレーサビリティーの管理がどのように行われているのか、エビデンスを挙げてみよう。 下の写真で、1粒のブリリアントカットダイヤモンドができるまでの工程一覧イメージを見ていただきたい。 写真の上段左端は四方を南アフリカ共和国に囲まれた「天空の王国」レソト王国のレッツェン鉱山。サバースでは鉱山で採掘された石を原石専門の担当者が丹念に選別し(工程01)、どのようにカットし研磨すれば最大限の輝きを引き出せるのか、原石の設計を分析(工程02)。続く重要な工程では、原石表面にわずかな窓(ウインドー)を開けることによって、すりガラス状の原石内部に秘める輝きの兆しを見極める(工程03)。 その後、原石から最大かつ美しい透明度とプロポーションを残すため、スキャニングして結晶軸や結晶方向を判定し入念に計算したうえで削る位置をマーキング(工程04)。施された印に沿って最先端のレーザー技術で原石を切断(ソーイング・工程05)した後、丸い円周部分を研磨するブルーティング(工程06)を行い、ブリリアントカットのベースとなるファセットカットを施す(工程07)。 各ファセットを丹念にポリッシュ(研磨)し(工程08)、完璧なプロポーションを得た研磨済みダイヤモンドは日本へ送り届けられる。やがて日本の工房でデザインを施され、華麗なジュエリーへと昇華してオーナーのもとへ。 以上がサバースにおけるダイヤモンドの特別なジャーニー。原石の出自と生産履歴は、研磨業者が調達した時点から情報が記録され、現地の提携工場で一貫して研磨までの工程を行うことで、日本に届くまでのトレーサビリティーを確保している。