21年2月、春季キャンプで並んで打撃練習を行う糸井（後方）と佐藤輝

　超人イズム注入！　来春に行う阪神の沖縄キャンプで、OBの糸井嘉男スペシャルアンバサダー（43＝SA）が臨時コーチとして指導することが決まった。駐米スカウトのジェリー・サンズ氏（37）、3年連続の臨時コーチとなる走塁のスペシャリスト、赤星憲広氏（48）も指導に携わる。 　糸井SAは22年の現役引退後、古巣を本格指導するのは初めて。藤川球児監督（44）がその狙いを明かした。「小谷野打撃（チーフ）コーチともオリックス、日ハムでも一緒にやっている。そういう部分で佐藤（輝）へのアプローチとか、一番心が通じ合う糸井と佐藤なんでね、そのあたりは小谷野の助けにもなるだろうし」。現役時代にともにプレーした選手も多く、良き兄貴分的としても接しやすい。特に佐藤輝とは近大の先輩後輩の間柄で親交も深い。この日、鳥谷敬氏が金言を授けた三塁守備力のアップに加え、打力アップにはうってつけの存在だ。 　大先輩がやってくると聞いた佐藤輝は「いやあ、面白そうですね」とワクワク。食事をともにするなど仲も良く、打撃の話も幾度としてきたが、じっくり話を聞ける機会になる。「今まではそんな深い話はあんまりしたことないかもしれないです。アドバイスももらったりしたので、面白そうなので、しゃべってみたいと思います」。阪神では2年間一緒にプレーし、超人ぶりを肌で知る。「あれだけデカイですけど、当てるのがうまいというか。レフト前とかポーンって打ったりしていますし。3割何回も打っているし。さすがだなと思う部分ではありました」。糸井流で1発だけでなく確実性も身につける。 　強力なレジェンドトリオが藤川阪神をバックアップ。指揮官は2月7、8日に来訪予定の赤星氏に「特に若い選手たちの糧になればいいかなと。走塁の部分で磨いておきたいなというところがチームとしてもある」と期待。サンズ氏には「選手たちがアメリカの野球を知りたいので、（日米韓の）3カ国プレーした選手の話を聞くのが必要かなとお願いしました」と新たな役割を望んだ。充実の春へ、虎が誇る人材と技術を集結させる。【磯綾乃】 　◆糸井と佐藤輝　佐藤輝は近大時代、同じ右投げ左打ちの先輩にちなみ「糸井2世」の異名を取った。1年目の21年に開幕から右翼レギュラーをつかんだ佐藤輝に対し、糸井は代打での起用が中心になった。5月7日DeNA戦では、スタメン復帰した糸井と佐藤輝がアベック本塁打も記録。佐藤輝が不調で2軍落ちした9月10日～22日には、糸井が右翼で3試合先発出場と助っ人役を務めた。佐藤輝は22年開幕前、糸井の橋渡しでオリックス吉田正尚に弟子入りしさまざまな知識を習得。糸井は22年限りで引退を決意。9月21日広島戦での引退試合で、佐藤輝は初回には惜別の2点適時打を放ち「いい結果になって良かったです。嘉男さん、ありがとう」と感謝を口にした。