東京都財政は本当に豊かなのか? 宣言延長受け、100万円の協力金即決
都財政の運営は波乗りに近い
都の財政規模は、他道府県と比べて飛びぬけて大きい。一般会計だけで7兆4千億円。全会計で15兆5千億円とノルウェーの国家予算に相当する規模だ。そのため、「都は富裕団体」でカネの心配がない自治体だと言われる。都の予算の実情を見てみよう。
都財政については、特徴として以下の3点が見て取れる。 (1)財政規模が大きいのは国民の1割超、1400万人が暮らすからである (2)他道府県のように赤字であっても国が財政補てんし穴埋めする地方交付税は一切支給さていない日本で唯一の「交付税の不交付団体」である (3)歳入の7割以上が自前の財源(地方税)だから豊か 一方で、留意しておく必要がある点もある。(1)について言えば、財政規模は大きいものの都民の数も多いため、特別手厚いサービスが施されている訳ではない。また、(3)については、景気変動の影響を受けやすいというリスクを抱える。地方法人2税(法人事業税と同住民税)は通常、全税収の半分近くを占めるが、不況に陥ると一気に1年で1兆円、2兆円減収になる。事実、リーマン・ショック後の2009年度は企業収益の大幅な落ち込みで法人2税は約1兆円減った。都債の大量発行で凌いでいるが、都財政の浮き沈みは激しい。 そうした不安定な大海を船で漕ぐような財政環境の東京都。青島幸男知事(1995~99年)は3年間で4632億円も基金を取り崩し、最後は1068億円という美濃部亮吉都政(1967~75年)末期を超える大赤字を出して退任した。その後1999年4月に都知事になった石原慎太郎は都財政再建を旗印に職員を1万人以上減らし、一般歳出を1兆円近くカットし黒字都政を実現した。そうした辛い経験から「財政調整基金」は少なくも1兆円規模で確保すべし、という流れの中で今日がある。
都財政の推計―厳しい「冬の時代」へ
都はこうしたコロナ問題が始まる前に、財政収支の長期推計を発表している。この先20年間を見通した収支の推計だが、経済成長が1.4~0.5%の上位推計、0.8~0.0%の中位推計、0.1~0.5%の下位推計の3通り。 下位推計だと2021年度で1400億円の赤字で多い年は2300億円から3700億円の赤字幅を予想している。