東京都財政は本当に豊かなのか? 宣言延長受け、100万円の協力金即決
しかし、これは平常時の話で大不況が想定される「コロナ禍」は想定外だ。税収は大幅減、他方で歳出は大幅増という事態が想定される。 ここまでの間、オリンピック特需という好況に支えられ税収も好調だったが、この先景気はどうみても大きく腰折れしそうだ。リーマン・ショック後の2009年度は約1兆円の減収に襲われた。今回の景気悪化が世界恐慌以来と言われる中で、今年度以降の大幅な減収は避けられない見通しだ。1兆円規模の歳入欠陥が生まれたらどうするか。
財政再建団体も視野に
国からの地方交付税を受けていない不交付団体の都は、好況期には東京富裕論で叩かれるが、不況期は誰も面倒を見ず自力更生が求められる。財政再建をめぐる都知事の奮戦は地方交付税で守られる他の府県と大きく違う。一年間に1~2兆円の歳入欠陥が生じたらどうなるか。これまでの経験から、歳出の2~3割のカットをしなければ財政はもたない。 一般会計で5%以上の赤字だと、国から「起債制限団体」(財政再建団体)に指定される。事実上財政破綻の烙印を押され、国の管理下で財政再建を求められる。そこでは都民税の大幅増税や都の施設の使用料、各種手数料の大幅値上げが行われ、一方で職員削減や給与の大幅カット、公共施設の使用制限や廃止、福祉サービス等の切り下げが行われよう。 そうした財政環境にある都は決してこの先「富裕団体」とは言えまい。基金を全部食いつぶし、仮に今回のコロナ禍対策を乗り切ったとしても次々に難問が待ち構えている。 石原都政後、猪瀬直樹、舛添要一と短命都政が続き、小池百合子へのバトンタッチ後も「改革なき都政」が続くが、この先、本当に大都市東京の経営は大丈夫なのだろうか。