新橋・SL広場にも超高層ビル 進む東京の再開発計画、その理由は?
課題は何か
開発側からすれば、グローバルな資本が積極的に動く基盤としての交通インフラの整備と規制緩和を公が用意し、民間事業者が利益を最大化する計画を行うことで東京の再開発が進行しているといえるであろう。また一方で都市の利用者にとっては、今後、再開発の主要な対象地となることが予想される地域は、戦後の再開発のなかで誕生した東京でも特徴的な地域であり、現在の東京の都市としての多様性を示す重要な場所となっていると考えられる。そうした場所を残したいと考える人は少なくないだろう。この両者の論理を同時に成立させる再開発は可能であろうか。 これからの東京の再開発は、その計画段階において、戦後に生まれた特徴的な都市空間をどのように評価、選択し、継承していくかを議論できるかどうかが課題となるだろう。 ---------------- 石榑督和(いしぐれ まさかず) 明治大学兼任講師、同大学まちづくり研究所客員研究員。1986年生まれ、岐阜県岐阜市出身。明治大学卒業。博士(工学)。東京の鉄道ターミナル近傍の都市形成史を研究している。専門は近現代都市史・建築史。