あの“規格外ルーキー”が世界の佐藤水菜を脅かし、元ナショナルチーム勢がガールズケイリンに嵐を呼び込む!?/敏腕記者3名の視点
ガールズケイリンの華は先行! 逃げて強くなる姿を追いかけたい
松井 124期の熊谷芽緯も注目したいね。 前田 競輪祭女子王座戦での頑張りは、若手に勇気を与えたんじゃないでしょうか。 松本 レースを盛り上げたのは彼女だったと思います。熊谷は1年かけてGIレースの出走権を獲るところから始まったから。 前田 先行であれだけインパクトある走りができる。 松本 レースもブレないしね。 松井 どんどん強くなって化けそうな感じがするよね。 前田 見た目は全然スポーツ選手に見えないんだけど。 松本 キャラクターが柔らかいからね。 松井 ガールズってトップクラスじゃなくても、すごいテクニシャンが結構いるんだよね。東京の石井貴子とか、中嶋里美とか。例えば先行なら、ペース配分がうまくて4コーナーからぐぐっと踏み直して逃げ切ったり。熊谷も、そういうことが割とできるタイプ。先行の緩急を操ってレースを支配できる選手は珍しい。あのスタイルは貴重だと思う。 松本 今年、熊谷は先行で行けるところまで行って欲しいです。 前田 やっぱりガールズケイリンは、ヨコの競りがない分、先行選手に華があることが一番。結果以上のものを伝えられるのが、ガールズケイリンの先行だと思うんです。120期の刈込奈那も、126期の伊藤優里もそれに挑んでいる。その姿をファンは見ているんですよね。 松本 122期は畠山ひすい、124期は熊谷芽緯、126期は伊藤優里。各期に1人ずつぐらい、「逃げて捲られ逃げて捲られ」をしている選手がいる。彼女たちが捲られなくなって、4コーナーから追い込まれるぐらいになって、今度はゴール前でちょっと差されるぐらいになって。そんなふうに経験を積んでいくと、あるとき急に「あれ、逃げ切っちゃったよ」となる。逃げた選手が強くなっていく姿は、ファンも応援しがいがあると思うんですよね。 松井 ラインがないガールズケイリンだから、逃げるのって厳しいけど、そういう一本筋の通ったレースをする選手が増えたら、ガールズケイリンはもっと面白くなっていくよね。 松本 126期の伊藤は、逃げ続けられるメンタルもありますよね。 前田 先行にもいろんなパターンや技術があって。ドーンと踏んでいく以外のことも学んでいけば、どんどん強くなると思いますよ。加瀬加奈子や奥井迪みたいな偉人が、まだ逃げ回っているんだし。 松本 逃げ回っていると言うより、逃げまくっている(笑)。 前田 先行選手はヘコたれてしまう成績になりがちだけど、ヘコたれずに挑み続けて欲しい。 松井 引退した高木真備なんて、最初の頃は逃げて捲られてボロボロになってたよね。いつも検車場で倒れてたイメージ。 松本 それが、だんだん踏める距離が伸びていって。 前田 最後はグランプリを勝つまでになりましたからね。新人選手たちは、諦めずに逃げて戦って強くなって欲しいです。