あの“規格外ルーキー”が世界の佐藤水菜を脅かし、元ナショナルチーム勢がガールズケイリンに嵐を呼び込む!?/敏腕記者3名の視点
「追い込み型受難」は男女共通
松井 ガールズケイリンは、追い込みや位置で戦うタイプの選手は、これから難しくなるだろうね。食らいついて食らいついて、2着でまとめている人は、やっぱり1着を量産する人には賞金で敵わない。 松本 決勝2着が多いマーク型や追い込み型の選手は、グランプリの権利を獲ることが厳しくなりますからね。 松井 そうなんだよね。 松本 そのあたりの選手は、もう勝つしかない。ガールズケイリンはオール単騎でタテ脚メインのレースだから。 前田 男子の話題でも触れていますけど、追い込み型選手が受難なのは、ガールズケイリンも同じかもしれないですね。
GI戦がガールズケイリンのレベルを引き上げる
松本 今年のグランプリは平塚競輪場で開催されます。なので、僕は地元の尾崎睦に注目したいですね。 前田 グランプリ出場は高いハードルになるかもしれないけど、尾崎を応援したいですね。 松本 また、ひとつ大きな変化として、今年からガールズケイリンでGI戦が4つ行われます。 松井 そうするとグランプリ出場権は、GI覇者の枠が4つ、賞金上位の枠が3つになるのかな。 松本 秋に世界選手権があって、例年通り今年も世界選手権の金メダルがグランプリの選考に入るようなら、金メダリストはグランプリに出場できる可能性があります。そうなると、賞金枠は2つしか残りませんね。 前田 能力はまだ未知数ですが、今は養成所の候補生で来年デビュー予定の酒井亜樹に注目したいです。彼女が世界選手権で金メダルを獲らないとは言い切れない。大阪の酒井拳蔵の妹なんですよ。 松本 4つのGI戦は、まず4月に岐阜で「オールガールズクラシック」。6月に岸和田で「パールカップ」、8月に宇都宮で「女子オールスター競輪」。そして11月に小倉で「競輪祭女子王座戦」が行われます。 前田 宇都宮の500バンクは石井寛子が大得意。 松井 石井は2022年の宇都宮のガールズケイリンコレクションで尾方真生を差して勝ったのが印象に残っているな。 松本 オールスターは2023年までコレクション(ドリームレース、アルテミス賞)として争われた。2024年は男子オールスターの前半3日間に組み込まれて、勝ち上がりのトーナメントで行われた。2025年からは女子だけの開催になるし、楽しみですね。 前田 出場選手は42人ですよね。 松本 そうだね。ファン投票からはドリームレースを含めて20人選出されるのかな。その他に競走得点の選抜枠がある。出場選手の選抜方法は、年々よりよいものに変わっていくと思うけど、僕は42人全員をファン投票で選んでもいいんじゃないかと思うんです。オールスターだから出場できる選手もいるでしょうし。 松井 ファンがメンバーを選べるのは、オールスターだけだからね。 前田 宇都宮なら荒牧聖未。 松本 栃木の代表でずっと頑張っている選手だもんね。 前田 2012年デビューだから、キャリアは13年目ぐらいになる。地元のGIを走ってもらいたい。 松本 荒牧は自己アピールがうまい選手ではないけど、レースは堅実。オールスターではファン投票でドリームレースに入れるといいね。 松井 やっぱり地元は特別だろうしね。 松本 「GIがホームバンクで開催されるなら出場したい」っていう選手の意識の高まりは、普段の取材でも強く感じます。7人単発レースのガールズケイリンコレクションに出るのは厳しくても、3日間のトーナメントになれば出場枠が広がります。「私でも頑張れば出られるんじゃないか」って思えますから。 前田 松本さんが「ガールズのGIを作れ」と強く主張し続けてきた功績じゃないですか(笑)! 松本 僕のことはいいから(笑)。 松井 とにかく、GI戦が女子のレベルアップにつながることは間違いないだろうね。