元検察官vs“犯罪者”の戦い──“多様性”と“ネットミーム”を強みにカマラ・ハリス氏は女性初の米大統領になるのか?
白川プロデューサー 「間近に取材した飯塚さんから見て、ハリスさんの政治家としての強みはどこにあると思いますか」 飯塚記者 「彼女は多様性を生かした戦略をしていると感じました。“We”とか“Our”といった“私たち”という言葉に自分を入れられるんです。そこは強みだと思いました。例えば、女性が多い集会では、『私たち女性や女性を応援する男性の皆さん、こんにちは』みたいな感じで挨拶する。そして女性の関心の高い人工妊娠中絶問題であったり、男女の賃金格差といった問題について時間を費やしていました」 「黒人の有権者が多い地域で行われたちょっとした会合みたいなところでは、黒人の子どもたちがマーチングバンドで太鼓をたたきながらやってきて、それと一緒にハリスさんが踊りながら出てきた。そのとき凄くリズム感があると思ったんですけれども、彼女自身、伝統的に黒人が多い大学といわれているハワード大学を出ていて、マーチングバンドは象徴的なものなんです」
■「移民政策」では責められるも「中絶の権利」では一定の評価
白川プロデューサー 「3年前に初の女性副大統領になった時、演説もパワフルですごいなと思ったんですが、その後、正直あまり日本のニュースでお見かけしなかった印象です。アメリカではどういう評価なのでしょうか」 飯塚記者 「アメリカメディアを見ても、『実績が乏しい』というような評価がけっこう出ています。本来副大統領というのは目立つ場面が少ないっていうことはあるとは思うんです。さらに任されていた分野がちょっと人気のない分野と言いますか、すごく論争になりやすい『移民政策』で、厳格過ぎてもリベラルから批判されるし、緩和し過ぎると治安への影響も出てくるしという中で、どちらからも責められるような状態でした」 「トランプさんは元々『国境の壁』と言っていたぐらい国境警備に力を入れると話してる方で、実際に今回の選挙キャンペーンでも、『犯罪者が大量に流れ込んできた。それは誰のせいか?ハリスのせいだ』というふうにくっつけてキャンペーンを展開しています」