江原啓之「夫が保存していた昔の恋人の手紙を発見。問い詰める?見なかったことにする?〈幸せぐせ〉はどちらか」
◆ひとまず問題から距離を置く もし感情のままAのような行動に出たらどうなるか。問いただしたときの夫の返答を、理性的に想像してみましょう。「なんだっけ? その手紙」と、忘れていたふうに対応されれば、妻は夫が本心を隠しているのではないかと疑いたくなりませんか? 逆に、「良い思い出だからとっておきたいんだ」とか、「忘れられない女性からの手紙だから大事にしまっている」とハッキリ言われたら、よけい頭に血が上るでしょう。つまり理由を聞いたら聞いたで、次のもやもやが生まれるということ。 きっとどんな答えが返ってきても腹が立つのです。そこから犬も食わない夫婦げんかに発展するのは想像に難くなく、険悪なムードになることは間違いないでしょう。 そんな結末が待っていても追及せずにはいられないという方には、次のことをおすすめします。ひとまず、意識的にこの問題から距離を置きましょう。仕事でも趣味でも、ボランティアでもいいので、予定を入れて忙しく過ごしてみてください。新しい人間関係を構築し、今まで以上に世界を広げるよう心がけるのです。その中で自分のやりたいことが見つかれば、夫の過去の女性どころか、夫のことも気にならなくなるはず。良い意味で、夫が“空気のような存在”になるでしょう。 人生の時間は有限ですし、時間はお金では買えない宝物です。悶々と悩んだり、夫婦げんかをしたりすることほど、時間のムダ遣いはありません。自分のためにも、彩り豊かな毎日を送ることに時間を費やしましょう。
◆思い出はただのメモ そもそも夫がしまっていた手紙は、言ってみればメモです。あなたがメモするときを思い出してみて。例えば買い物するべきものを書いたメモ。買わなければいけないものだけれど、忘れてしまいそうだから、わざわざメモとして残しておくのではないでしょうか。夫がとっておいた過去の手紙は、いわば“買い物のメモ”と同じ。もしもこれが現在進行形で大事に思う女性なら、手紙なんてとっておきません。なぜならその女性にまつわるものがなくても、いつだって心の引き出しから鮮明に女性との思い出を取り出せるからです。 裏を返せば、手紙を残しておかないと忘れてしまう程度の女性であり、すでに過去の思い出だということ。だとしたらこれまでの夫婦の歩みや、今の夫婦関係に影響を及ぼすものでないことは一目瞭然です。「あらまぁ、思い出を残しちゃって」と笑い飛ばすぐらい、妻の余裕でドンと構えていましょう。 過去の思い出うんぬんで言うなら、女性が恋人からもらったアクセサリーやバッグを、別れた後も使い続けるという場合はありませんか。それも同じ。物=相手への愛情ではなく、たんに物としてしかとらえていないのです。ですから気に入っている物なら、私はそのまま使っていいと思います。恋人との思い出がたとえ良いものでなかったとしても、もらった品をそのまま使える人は、何ごとも恨まないポジティブな人とも言えるでしょう。過去をネガティブにとらえず、上手に切り替えて生きていける証拠であり、それもまた幸せぐせではないでしょうか。 (構成=やしまみき)
江原啓之