「直球の成分が今永昇太に匹敵。10戦で打率.313」DeNAの2023年ドラ3は二刀流を台湾で磨いていた…“育成落ち”ホークス風間球打のWL成績は?
吉田、青柳、佐野、村上…台湾は登竜門に
DeNAだけではない。AWBは、NPBのプロ野球選手にとって「登竜門」のようになっている。 2016年は、NPBウエスタン選抜で出場したオリックスの吉田正尚が打率.521、25安打、5本塁打、23打点で最優秀打者、同じく阪神の青柳晃洋が16回、2勝0敗1S、防御率1.69で最優秀投手。2017年はNPBイースタン選抜のDeNA佐野恵太が打率.391、5本塁打、18打点で最優秀打者賞、2018年はNPBイースタン選抜のヤクルト、村上宗隆が4本塁打、15打点で本塁打と打点の二冠王、同じく塩見泰隆が打率.392で首位打者に輝いている。 またJABA(日本野球連盟)も選抜チームを派遣。2018年JFE西日本の河野竜生(現日本ハム)、2019年トヨタ自動車の栗林良吏(現広島)、三菱自動車岡崎の中野拓夢(現阪神)など、後年、プロ野球で活躍する選手が多数プレーしている。近い将来NPBで活躍する選手の「先物買い」をする感覚で見ることができる。 AWBは、開催費用をCPBLが負担している。興行的には赤字だが、台湾やアジアのプロ野球振興のために、ペナントレースと同レベルの球場を使い、審判も4人制を敷くなど、クオリティの高い試合を行っている。また昨年からピッチクロックを導入、ビデオ判定も行うなど、先進のシステムも導入している。 今季はJABA選抜、NPB紅組(ソフトバンク、中日、阪神、DeNA)、NPB白組(巨人、オリックス、ヤクルト、西武)、CPBL山組、CPBL海組の5チームでリーグ戦が行われた。球場は台中の州際棒球場と、雲林県立斗六野球場。いずれもプレミア12やWBCの舞台となった一級の球場だ。筆者は12月9日~11日まで斗六の球場で観戦した。
NPBの若手、社会人でも目立った選手が
コロナ禍以降、NPBは即戦力の若手ではなく育成選手を中心とした編成となっているが、そんな中でもこれは――と思う選手、プレーが散見された。 打者では西武のモンテル。彼が徳島インディゴソックスから育成ドラフトで西武に入団した時の記者会見に立ち会った。彼はうれし涙を流していたが、巨体にもかかわらず抜群の俊足で、リーグ2位の8盗塁を記録した。 オリックスの内藤鵬は、ルーキーの年の宮崎キャンプの打撃練習で、頓宮や杉本顔負けの大きな当たりを飛ばしていたが、2本塁打はAWL最多タイ。10日の白組との試合ではサヨナラ安打を打って、チームメイトの手荒い祝福を受けていた。 近年のAWLでは、JABA選抜が勝ち進むことが多い。NPBが育成選手中心になっているのに対して、JABAがドラフト候補の選手を選抜しているからだ。12月9日の試合でも日本生命の谷脇弘起が先発し、粘り強い投球でNPB紅組に勝利。最多に並ぶ3勝を挙げていた。 また阪神の椎葉剛は、2023年、徳島インディゴソックスからドラフト2位で入団。藤川球児新監督も期待の速球派の投手だ。速球主体に小気味よい投球をしていた。AWLでは先発することもあったが、3試合で防御率2.16と好投が光った。
「ホークスの背番号1」から離れるドラ1風間は…
一方、ソフトバンクの2021年ドラフト1位の風間球打は、腰椎分離症などで一軍登板がないまま、育成で再契約されたが、この試合では3番手で投げるも2回56球、被安打はないものの5与四球、1与死球と大乱調だった。 背番号「1」で投げるのは、このリーグが最後になるが、ここから何とか立ち直ってほしいと切に願う。〈第1回、第2回からつづく〉
(「酒の肴に野球の記録」広尾晃 = 文)
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