【みやこS】強豪2頭の間を割ったローマンレジェンド GⅠ級の活躍馬を多数輩出したダート重賞を「記録」で振り返る
見る者を魅了した衝撃の末脚の持ち主、カゼノコ
先日の天皇賞(秋)ではドウデュースが上がり3Fを32.5で駆け抜けた。これは歴代GⅠにおける、勝ち馬で最速の大記録である。 みやこSで馬券圏内に食い込んだ馬たちのなかで歴代最速3Fのランキングでは、3位が2021年2着馬ロードブレスの35.8(阪神開催)、2位が15年勝ち馬ロワジャルダンの35.7、そして1位が同年2着馬カゼノコの35.5となっている。上がり3Fはレースの展開や馬場状態によるところも大きいが、それでも鋭い末脚は印象に残る。 カゼノコもローマンレジェンドと同様にデビュー当初は芝レースに出走。アグネスデジタル産駒らしく、芝レースでも上がり最速を記録している。ダート転向後は2戦連続で上がり最速を出すなど、その末脚を遺憾なく発揮。JDDでは圧倒的な人気を集めたハッピースプリントらを上がり最速の末脚で差し切って栄冠を手にした。 その後は、15年みやこS2着だけでなく同年の川崎記念2着や同年の名古屋グランプリ3着など好走はあるものの勝利を挙げられないまま引退となった。しかし引退間際のラスト5戦のうち4回で上がり最速を記録しており、最後まで持ち味の末脚は健在だった。 現役時代に走った40戦のうち実に半数の20戦で上がり最速をマークするなど、記憶に残る馬だった。 また、カゼノコはみやこSの2着時に462kgと、馬券圏内に食い込んだ馬のなかで歴代最軽量タイの馬体重(同体重は22年3着オメガパフューム)である。一方、最重量ランキングでは、3位が12年2着ニホンピロアワーズ、昨年の勝ち馬セラフィックコールの536kg、2位が22年勝ち馬サンライズホープの538kg、1位が16年勝ち馬アポロケンタッキーの562kgとなっている。カゼノコはアポロケンタッキーと比べて100kgも軽かった。 今年はどのような血統や武器、馬体を持つ馬が勝利するのだろうか。これからのダート路線を占う意味でも注目したい。 ライタープロフィール 緒方きしん 競馬ライター。1990年生まれ、札幌育ち。家族の影響で、物心つく前から毎週末の競馬を楽しみに過ごす日々を送る。2016年に新しい競馬のWEBメディア「ウマフリ」を設立し、馬券だけではない競馬の楽しみ方をサイトで提案している。好きな馬はレオダーバン、スペシャルウィーク、エアグルーヴ、ダイワスカーレット。
緒方きしん