2025年の景気は「緩やかな回復が持続」…経済評論家・塚崎公義氏が予想
いよいよ2025年がスタートしました。今年の景気はどうなるのでしょうか。経済評論家の塚崎公義氏が予想します。 年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
景気は緩やかな回復を続ける見込み
景気は、緩やかに回復しています。月例経済報告は「景気は、一部に足踏みが残るものの、緩やかに回復している」としています。景気は自分では方向を変えないので、何事もなければこのまま緩やかな回復を続けるでしょう。あとは、何か起きそうなのかを考えればいいのです。 国内経済を見ると、少子高齢化による労働力希少(労働力不足と呼ぶ人が多い)によって、賃金が上昇しています。この流れは今年も続くでしょうから、「賃金が上昇し、物価はそれより少し緩やかに上昇し、差し引きした実質賃金が緩やかに増加する」という望ましい経済の姿が予想されます。したがって、消費の腰折れは無さそうです。 労働力希少は、企業の省力化投資を促すため、その面でも景気にプラスの影響があるでしょう。加えて日本経済が効率化していくわけですから、労働力希少のメリットは大きいわけです。政府がむやみに外国人労働者を増やして労働力希少のメリットが損なわれないことを祈ります。 インバウンドも、順調な増加を続けると期待されます。治安がよく、清潔で、滞在費が安く、観光資源が豊富な日本は、外国人旅行者に好かれるでしょうから、リピーターも多いでしょうし、評判を聞いて日本に来たいと考えている外国人も多いでしょう。オーバーツーリズムを懸念する声も聞かれますが、景気という観点からは大歓迎です。 財政金融政策が景気に影響することも無さそうです。財政面では、景気を冷やしそうな増税は予定されていないでしょうし、金融政策面では緩やかな利上げが見込まれますが、景気という観点からは、金利が多少上がったくらいでは影響は限定的です。「金利が0.25%上がったから設備投資を手控えよう」などという企業はまれだからです。 海外情勢を見ると、米国でトランプ政権が誕生することが波乱材料かもしれませんが、過度な懸念は不要です。8年前に「何が起きるかわからない」という恐怖がありましたが、前回のトランプ政権時の米国経済は順調でしたから、今回も経済政策面での大きな懸念はなさそうです。外交面では難しいことも起こりそうですが、日本経済への影響は限定的でしょう。 中国経済は、相当深刻な状況にあるようです。不動産バブルが崩壊した影響が甚大であることに加え、習近平政権が経済の発展より共産党政権の安定を重視していることから、起業しようという人が減っていて、富裕層の海外移住も増えているようです。したがって、長期的には見通しがかなり暗いのですが、短期的には中国政府が景気対策を頑張るでしょうし、仮に不況が続いたとしても、資源大量消費国である中国の景気が悪いということは資源価格安定というメリットも見込まれますので、日本経済への打撃は限定的でしょう。 国際紛争が激化して資源価格が高騰するといった心配も、それほど大きくなさそうです。