ロボットに人工筋肉があったらどうなる?
ロボットに人工筋肉があったらどうなるだろうか。チューリヒ工科大学(ETH)と独マックス・プランク研究所がこの難題に挑もうとしている。 従来のロボットは、通常、動きの動力源としてモーターを使用する。このロボットの脚は、電気水力学を応用した人工の筋肉を使用して、人間の脚の動きを模倣する。 この人工筋肉は、両サイドに伝導性の黒い電極が付いた、オイルが詰まったプラスチックの袋だ。 電荷が加えられると、静電気により電極が互いに引き合い、オイルが片側に押されて袋が縮む。 鍵は、それぞれの関節にある拮抗する筋肉だ。 ETHのトーマス・ブシュナー博士研究員はこう語る。 「上腕二頭筋と上腕三頭筋のように拮抗的に働く。上腕二頭筋が収縮すると上腕三頭筋は伸び、逆に上腕三頭筋が収縮すると上腕二頭筋は伸びる」 その利点とは、角度を常に監視するセンサーを必要とせず、環境に適応できるのだという。 「この筋肉は本質的に柔軟で、電圧のレベルに応じて硬さを調整できる。不均一な地形を歩く際に動きを減衰させ、安定させるために重要だ」 研究は科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに掲載された。この技術はまだ初期段階だが、研究チームはすでに将来の応用を構想している。ブシュナー氏は、人工筋肉を搭載した電池駆動のロボットが救助活動などの任務に投入される未来を思い描いている。