25歳で現役引退、女子プロGKから転身した写真家・福村香奈絵の思い「キャリアにファーストもセカンドもない」
福村香奈絵さんがスペインでプロサッカー選手のキャリアに終止符を打ったのは25歳の時。その後はフォトグラファーとしてさまざまな現場で活躍し、昨年9月に主催した個展は大盛況に終わった。プロアスリートだった彼女のフィルターを通して生み出される作品は、唯一無二の輝き色を見せる。引退から3年間、立ち止まることなく駆け抜けてきた原動力とともに、今後の展望について話を聞いた。
【現場で鍛えられたマルチな能力「人の縁に恵まれてきた」】
―――福村さんは写真から雑誌制作、個展など幅広く活動されていて、肩書きはフォトグラファーに留まらないですよね。 福村 最近は動画の仕事も多いのでビデオグラファーとしても活動していて、総称して「クリエイター」という肩書きにしています。メインでお仕事をいただいている会社はコアメンバーが5人で、クリエイター枠は自分だけなので、企画からクライアントさんとのやりとり、撮影、編集から納品まで一貫してやることもあります。 ―――初めての仕事も引き受けているんですか? 福村 どんな仕事も一旦は引き受けます。何が正解で不正解か分からないですし、最初は資料の作り方やGoogleスライドの使いもわからなかったのですが、少人数だからこそフラットに聞ける環境で鍛えていただき、現場で経験を積むことができています。失敗したこともありますが、過程として捉えたら成功までの必要なピースだったと思えることばかりなので、常に「なんとかなる」と思っています。 ―――大きな目標から逆算して仕事をこなすタイプと、目の前の仕事をコツコツ積み上げていくタイプだと、どちらが近いですか? 福村 計画したことを計画通りに進められないタイプです(笑)。目標を立てる時も、「こうしたい」とか「こうありたい」と考えるのは得意なんですけど、「1カ月間でSNSを何回投稿しよう」というように、数値化した目標は達成できたことがないんです(苦笑)。だからこそ、「こうありたい」という目標はブレることなく、現在の自分にできるベストを尽くして、それが積み重なって、思い描く自分の姿になればいいなと思っています。 ―――どんなイメージを思い描いていますか? 福村 突き詰めれば、「楽しい」と思えることだけを仕事にできたら最高ですね。そのために、今は何をやるにしてもポジティブに捉えて、その目的は見失わないようにしています。たとえば、フリーランスなので経費精算は必要ですが、楽しい作業ではないので「どうやってゲーム化できるか」を考えますし、徹夜しないと納期に間に合わない仕事は、「納品したときにやって良かったと思える」から、しんどくても頑張ろうと。 ―――考え方次第で、向き合い方も大きく変わりますよね。 福村 もちろん、人と関わる仕事だからこそ、「この人とは合わないな」ということはありますけど、今まで出会った人たちとの縁を考えると、それは自分の人生の中で一番恵まれていることだと思っています。そう考えると、本当にしんどいと思うことは少ないですね。