乳製品は「全脂肪」と「無脂肪」はどちらを選ぶべき?栄養士が健康効果などを解説
全脂肪に変えるべき?
これはつまり、私たちは“考えるまでもなく”、「低脂肪より全脂肪を選ぶべき」ということなのだろうか――? その答えは、ひと言で言えば「ノー」。これらの結果は、観察研究から得られたものであり、関連性を示すには十分だとしても、因果関係を適切に示すものとはいえない。 「全脂肪をとっていた人たちのリスクが最も低かった」とされてはいても、その理由は、明確にされていいない。乳製品に含まれているのは脂質だけではなく、ビタミンKやカルシウムなど、その他の成分が有効に働いた可能性もある。 さらに、この研究で効果的であると指摘されたのは、牛乳とヨーグルトのみ。チーズやバターとの有意な関連性が確認されなかったことにも、注意が必要だといえる。 こうした研究の大半には、何らかの問題点がある。この研究についても、同じことが言えるだろう。例えば、食事に関するデータは、参加者の自己申告に基づいている。さらに、その情報収集は1回しか行われていない。 つまり、参加者たちの食習慣がその後、変化していたのかどうかも不明ということになる。また、若年成人の心疾患の発症について調べるには、追跡期間が短すぎると言えるだろう。 さらに、調査対象とした国はほとんどが低~中所得国となっている。全般的に脂質の摂取量が多いイギリスをはじめとするその他の国にも、この結果は当てはまるのだろうか? より幅広く実施されているその他の研究結果からみて、乳製品について現時点で言えるのは、「1日あたり牛乳1カップ程度を摂取することが、心臓の健康維持に役立つと考えられる」ということ。そして、健康的な体重の維持を重視する場合には、「低脂肪の牛乳やヨーグルトを選ぶことも、選択肢のひとつになる」ということにとどまる。 ※この記事は、海外のサイトで掲載されたものの翻訳版です。データや研究結果はすべてオリジナル記事によるものです。