日本語弁論大会で2冠 徳之島町の国際交流員クリスさん 島で見つけた幸せに感謝
鹿児島県徳之島町で国際交流員(CIR)として勤務するリナルディ・クリストファーさん(27)が、10月19日に神奈川県小田原市で開かれた「外国人による日本語弁論大会」で最高賞の外務大臣賞と会場審査員賞の2冠を達成した。住民から「クリス」の愛称で親しまれているクリストファーさんは30日、町役場で受賞を報告し「他の出場者も素晴らしい内容だったので素直にうれしい。日本語の能力を客観的に証明できた」と喜びを語った。 大会は世界の人々に日本語で意見を発表する場を提供し、日本や国際社会の在り方をお互いに考え合うことを目的に1960年から行われている。今回はコロナ禍での中断を経て3年ぶり(有観客では5年ぶり)に開催され、約100人の応募の中から選抜された12人が出場した。 クリスさんは米国ニューヨーク市出身。2022年8月から同町初のCIRとして勤務している。大会では「おぼらだれん」(徳之島の方言で「ありがとう」の意味)と題して、大都会とは異なる徳之島での生活や、島民との交流についてスピーチした。 弁論でクリスさんは「摩天楼に包囲されて井の中の蛙(かわず)のような生き方だった」と将来に悩んだ自身の経験も交えながら、「人生で大事なのは自然、家族、平和。そして感謝」「徳之島での自然と共にある生き方を通して見つけた幸せにおぼらだれん」とまとめた。 クリスさんは村上春樹さんの小説を翻訳なしで読みたいと思ったのをきっかけに、20歳ごろから独学で日本語の勉強を始めたという。演歌や「男はつらいよ」などの映画も大好きだと話し、「素晴らしい弁論大会だったので、いつか徳之島町に大会を誘致したい」と新たな目標を掲げた。 応援のために大会会場に駆け付けたという高岡秀規町長は「内容だけでなく、難しい言葉もミスなく読み上げていて素晴らしいスピーチだった。これほど優秀な人材が来てくれてありがたい。今後も徳之島に住んでほしい」とクリスさんをたたえた。