約2年ぶりに日本代表に復帰したDF槙野智章（浦和レッズ）は、「ロープが置いてあったということは……」と非公開練習の内容を察してくださいと言わんばかりの表情を浮かべながら打ち明ける。 「監督からは事細かに言われましたし、すぐに体現するのは難しいかもしれないけど、時間をかけてという意味では僕たちのなかに手応えがありました。監督も練習後に『手応えがあった』と言ってくれました」 　ハリルホジッチ監督はミーティングで、「グラウンドのなかでは心を鬼にする」と宣言したという。初めての戦術練習でカミナリは落ちたのか。槙野は「それはないですよ」とこう続ける。 「僕たちをよくしようしてくれているところで、悪い部分はしっかりとダメと言ってくれますし、僕たちを成長させるために言ってくれているところは非常にわかりやすく怒ってくれます。でも、怒鳴ることはないですね。もっとこうしろ、もっとああしろと。皆さんも知っての通り、お話するのが大好きですから(笑)。ひと言ひと言がわかりやすいですし、メッセージも強いし、話術がすごい。プレゼン力がすごいというか、（話を聞いていて）絵が浮かんでくる。練習はすごく面白いですよ。グラウンドから離れたら『オレたちはファミリーだ』とも言ってくれる。オンとオフのメリハリというか、いい緊張感のなかでやれています」 　 　守備に大半の時間が割かれた練習を終えた吉田は「守り方に関してはベーシックというか、オーソドックスなものが多かった」と振り返る。しかしながら、そのベーシックな部分を実践できず、ファンやサポーターから寄せられた期待を失望に変えてきたのが昨年来の日本代表だった。 　日本代表という家を建てるうえで、まずは土台となる守備、その根本をなすプレスと戦う姿勢から改革に着手したハリルホジッチ監督。合宿3日目は午前中のミーティングで攻撃面における課題を提示し、たっての希望で再び非公開とした午後の練習では、就任会見でも表明した「スピードアップの向上」と「ボールタッチの制限」を実践させる処方箋を授けるはずだ。 （文責・藤江直人／スポーツライター）