2日目の練習では、選手たちを乗せたバスが到着した時点でピッチのなかにさまざまな色のポール、大小のコーン、そしてマーカーが無数に置かれていた。スタッフたちが先乗りして、ハリルホジッチ監督の指示通りに配置していたものだ。「勝利をつかむために完璧主義者に徹したい」と宣言していた指揮官の意気込みが、ここからも伝わってくる。 　ハーフウェイラインに向かって右側のピッチに立てられていた青色の12本のポールは、戦術練習を始める前のウォーミングアップで使われるものだと容易に推察できた。この日の練習の意図が込められていたのは、向かって左側のピッチだ。 　そこには、ハーフウェイラインから5mほど下がったところに黄色のマーカーが7つ、ラインと並行するように並べられていた。間隔は3mほど。さらに5mほど下がったところにも黄色のマーカーが7つ。これも3mほどの間隔で並べられ、マーカーとマーカーの間の3カ所に黄色いビブスが置かれていた。 　その5mほど後方には、黄色と赤色のマーカーが縦にくっつけられた形で7つずつ。それも、やはり3mほどの間隔で、両端にはそれぞれ黄色と赤色のコーンが立てられている。 　再び5mほど離れたところには今度は白色のマーカーが7つが、3mほどの間隔で。中央のマーカーの上には巻かれた状態のロープが置かれ、手前から数えて2つ目と3つ目、5つ目と6つ目のマーカーの間に白いビブスが置かれていた。 　さらに5m下がった位置には赤色と青色のマーカーが縦にくっつけられた形で7つずつ、3mほどの間隔で並べられ、両端にはそれぞれ赤色と青色のコーンが立てられている。詳細をうかがい知ることはできなかったが、黄色のビブスを日本の3トップ、白色のビブスを27日に迎え撃つチュニジア代表（大分銀行ドーム）の2トップと考えれば、ハリルホジッチ監督が課した戦術練習の目的を読み取ることができる。 　最終ラインから前線までの距離を縦横ともにコンパクトに保ちながら、相手がどこでボールを持っているかによってブロックを上げ下げし、左右にも移動しながらプレスをかけていく。約1時間40分に及んだ非公開練習のなかで、状況に応じたフィールドプレーヤーのポジショニングが微に入り細で徹底されたと見ていいだろう。 　コンパクトに保つ鉄則は、味方との距離を常に意識すること。マーカーはFW、MF、DFの縦の距離と一人ひとりの横の距離が瞬時にわかるように置かれ、コーンはブロックの横幅の上限を示していたのだろう。ロープは指揮官がプレーを中断させたときに選手間の縦横の距離を測るために、手に取りやすい場所に置かれたと推察することができる。