トランプ次期政権の閣僚候補「性的暴行で告発された人」も 上院での承認に一波乱あるか
ゲーツ氏の人事は、トランプ氏にとっては「肝いり」だった。トランプ氏は自らが4回起訴され、主に陣頭指揮を執った司法省と米連邦捜査局(FBI)を目の敵にしている。忠誠心が強い子飼いのゲーツ氏を司法省のトップにすれば、同省に復讐(ふくしゅう)する「汚れ仕事」をひるまず実行すると期待していた。それが、身内の共和党上院議員の反対で、つまずいた。次期大統領自身が人事権の適性を疑問視され、ヘグセス氏を始め、今後の承認の動きでは一波乱ありそうだ。 閣僚人事は、かつては「経験」や「適性」「能力」が重要だった。上院はそのために公聴会で閣僚候補者に厳しい質問を繰り返す。投票が行われ、過半数の51議員が賛成すれば承認という手続きを取る。大統領に好き勝手な人事を行わせないストッパーにもなっていた。 しかし、トランプ氏にとっては「忠誠心」が重要だ。閣僚候補者らは、トランプ氏と同じように、事実ではないことを公然と発言し、陰謀論を拡散する。それぞれにポストに対する野望や執着があり、かつてない異常な顔ぶれだ。来年1月の大統領就任式以降、上院で開かれる公聴会は物議をかもすことになりそうだ。(ジャーナリスト・津山恵子=ニューヨーク) ※AERA 2024年12月9日号より抜粋
津山恵子