写真左からアンドエスティ 取締役 田淵淳也CSO、取締役 田中順一CMO、木村治社長、取締役 小林千晃取CBO、取締役 櫻井裕也CTO

「グローバルワーク」など30以上のファッションブランドを展開するアダストリアは10月23日、ECモール運営を中心とした事業を新設の子会社・アンドエスティに12月1日に移管すると発表した。自社ECサイトにおける外部企業の出店を加速し、2030年までに流通総額を現在の約2.8倍の1000億円まで高めたい考えだ。 10月24日に自社ECサイト「.st（ドットエスティ）」を「and ST（アンドエスティ）」に名称を変更した。「and ST」は、2024年にサービス開始から10周年を迎え、2024年2月期における流通総額は約360億円、会員数は約1800万人となった。2022年に「and ST」を外部企業向けにオープン化し、現在はコスメや下着などを取り扱う17社22ブランドが参加している。 「モノを売る『ECサイト』から、顧客やクライアントに関わるすべてのモノ、コトをつなぐ『ファッショントータルプラットフォーム』を目指す」（木村治社長）と話した。 「and ST」の成長戦略については、①商品カテゴリーの拡張 ②実店舗「and STストア（旧.stストア）」の拡大 ③経済圏を見据えた会員サービスの拡充――を掲げた。 商品カテゴリーの拡張については、出店ブランドを拡大して、食や雑貨まで幅広くそろえるという。10月23日にインターメスティックが運営する眼鏡ブランドの「Zoff」の販売を開始し、2025年春にはウェルカムが運営する食品のセレクトショップ「DEAN & DELUCA」が出店を予定している。 他モールとの差別化として、アダストリアのバリューチェーンを生かし、販促や商品などのプロデュースをすることで、参画企業の事業拡大を支援するという 「パートナー企業は出店してもらうだけでなく、ライブショッピングを一緒に実施するなど、シナジーを生み出していく」（アンドエスティ 取締役 田中順一CMO）と話した。 会員サービスについては、①IDやポイントのオープン化 ②新経済圏の創出 ③商品と人などをマッチングするパーソナライズ――を進めているという。 デジタルバンクの、みんなの銀行と協業し、「and ST」における口座決済やポイント提供の仕組みを整えている。 「『and ST』の利用者と近いZ世代やミレニアム世代が多く利用する『みんなの銀行』と連携することで、将来的にポイントの付与、運用、交換ができる経済圏を目指す」（アンドエスティ 取締役 櫻井裕也CTO）と説明した。 ポイントについては、現在「and ST会員」に特典として付与している「dポイント」に加え、新たに「楽天ポイント」との連携も予定している。2025年秋に「and STポイント」「dポイント」「楽天ポイント」の3つのポイントの付与開始を予定している。 「プラットフォーマーとしては後発となるが、利便性だけではなく、『ファッションのワクワク』を盛り込んだ体験価値を提供することで成長する」（アンドエスティ 取締役 田淵淳也CSO）と意気込んだ。