松中さん頼むよ!井上ドラゴンズ秋季キャンプで動き始めた新コーチ陣への期待
東北から帰る小山コーチ
21年ぶりにドラゴンズのユニホームを着るのは小山伸一郎コーチである。三重県の野球名門高校である県立明野高校から、松中コーチと同じ1996年ドラフトの1位指名で、ドラゴンズに入団した。2期目としてチームを率いた星野仙一監督が最初に迎えたルーキーだった。背番号は「33」、郭源治さんが付けていた背番号を与えられる期待の高さだった。 ウエスタンで抑え投手に活路を見出しタイトルも獲得したが、1軍での目立った活躍はなかった。その後は誕生したばかりの東北楽天ゴールデンイーグルスで投手として、そしてコーチとして活躍した。「投手王国」と言われてきながらも、実は"砂上の楼閣"であることが判明した竜投手陣に、東北の地で培った指導力を発揮してほしい。
小林コーチは広報から転身
スーツからユニホームへ、小林正人コーチの誕生には驚いた。しかし、その手があったかと、井上新監督の慧眼にも感心した。現役時代の小林投手は、落合博満監督時代の"左キラー"であり、現在の讀賣ジャイアンツ監督の阿部慎之助選手をはじめ、リーグの左打者に対するワンポイント登板は、めざましい数だった。そして、打たれた印象がほとんどない。落合監督が愛でた"一芸に秀でた"選手だった。 現役引退後は、フロント入りして、この3年間は立浪和義監督の監督付広報を務めた。その真面目で誠実な対応に、取材で助けられたこともある。朝日新聞紙上に、小林広報自らの連載記事も掲載されたが、とても分かりやすく的確な内容だった。今後は育成コーチを担当するが、きっと選手たちへの指導も的を射たものになると期待が高まる。
悔し涙を嬉し涙に
最も大きなサプライズは、落合英二さんの2軍監督就任である。立浪政権をコーチとして支え、立浪監督と共に退団したのだが、井上監督自らが"口説いた"という。ドラゴンズファンの間では、"落合英二2軍監督"は「ドラフトで金丸投手のクジを引き当てたと同じような、大金星」という評価も多い。 かつて、韓国プロ野球でも2軍監督を務めた落合さん。井上監督の2歳年上ということもいい。チームには、監督に対して、きちんと進言できる"年配者"が必要な場合がある。井上監督自らが、それを理解しての落合2軍監督なのだろう。このタッグからは目が離せない。落合さんが、本拠地最終戦で魅せた悔し涙をファンは忘れない。是非、今度は嬉し涙を見せてほしい。 この他、新たに飯山裕志、平田良介、田島慎二、そして小池正晃という4人のコーチが加わることになった。グラウンドでプレーするのは選手だが、そんな選手たちへのリスペクトを忘れずに、いかに気持ちよく、いかに力強くアシストできるか、秋季キャンプでの熱い初指導が続いている。 【CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】 ※中日ドラゴンズ検定1級公式認定者の筆者が"ファン目線"で執筆するドラゴンズ論説です。著書に『屈辱と萌芽 立浪和義の143試合』(東京ニュース通信社刊)『愛しのドラゴンズ!ファンとして歩んだ半世紀』『竜の逆襲 愛しのドラゴンズ!2』(ともに、ゆいぽおと刊)ほか。CBCラジオ『ドラ魂キング』『#プラス!』出演中。
CBCテレビ