「輸血拒否」広め…エホバの証人「元幹部」が証言 ムチ打ち・輸血拒否は“宗教虐待” 弁護団報告書
日テレNEWS NNN
ムチで打つ、輸血の拒否…宗教団体「エホバの証人」のこうした教義が“宗教虐待”にあたるとして、宗教2世らを支援する弁護団が報告書をまとめました。教団で輸血拒否などの教えを広める立場にいたという元幹部が20日夜、語った実態とは――。 ◇ 20日夜、キリスト教系の宗教団体『エホバの証人』の元幹部の男性が、顔を出してzeroの取材に応じました。 「よろしくお願いします」 「エホバの証人」元幹部 根尾さん(仮名) 「私は『長老』という立場で、医療機関連絡委員という、さらに『選ばれたグループ』の中に所属して、輸血拒否に関する活動をしていた」 佐藤梨那キャスター 「選ばれた人しかなれない?」 「エホバの証人」元幹部 根尾さん(仮名) 「そうですね」 教団幹部として、「輸血拒否」などの教えを広める立場だったといいます。 「エホバの証人」元幹部 根尾さん(仮名) 「都合のよい情報だけ、信者たちに流しているので、『この方は、本当は輸血すれば助かったけど、亡くなりました』…という情報は一切、伏せてしまうので」 男性は10年前、一度、他の幹部の行動について意見をしたところ、「排斥」という処分を受け“破門”になったといいます。 「エホバの証人」元幹部 根尾さん(仮名) 「排斥=悪魔・サタンである、人間ではない、と。」 佐藤キャスター 「ご実家に帰れない?」 「エホバの証人」元幹部 根尾さん(仮名) 「帰れないですね…。一度だけ、実家に赴いて話しかけようとしまして、『お前は危険人物だから、不審だし、警察に連絡する』と(言われた)。これまで、7年間1度も会えていない」 ◇ あまりに厳格な、教団の教え――。 20日、「エホバの証人」の2世らを支援する弁護団は、266ページにわたる「調査報告書」を公開しました。 支援弁護団の調査報告書 「虐待行為が日本全国であまねく、数十年にわたり行われてきた」 全国の元2世ら581人へのアンケート結果などから、教団の教義が“宗教虐待”にあたる、と訴えました。 報告書では、回答者の92%が「ムチ打ちを受けたことがある」と回答しました。多くの場合が10数年の期間にわたっていて、ムチの種類も、素手からベルト、ベルトからホースというように、徐々に痛みの強いものに変わるケースが報告されました。(※支援弁護団の調査報告書による) また、教団側が“聖書の言葉に従いたい”との願いから、輸血を拒否している問題については、回答者の81%が「“輸血拒否カード”を所持していたことがある」と答え、大半が「保護者から言われたから」と回答しました。 ◇ 20日、弁護団は、教団の教義が“宗教虐待”にあたると、こども家庭庁に通告しました。 ともに声をあげたのは、宗教3世のナオトさんです。 両親が信者・宗教3世 ナオトさん(20・仮名) 「当事者として、言いたいことは、ひとつだけです。とにかく、社会に実態を知っていただきたい」 ――いま手に持っているのは? 両親が信者・宗教3世 ナオトさん(20・仮名) 「僕の治療記録。カルテですね」 zeroにみせてくれたのは、医師のカルテです。 両親が信者・宗教3世 ナオトさん(20・仮名) 「家族がエホバの証人で、輸血等はできないと。それらの説明が書いてあるのが、とても異常なことだと」 ナオトさんは、10歳のときに心臓に異常が見つかり、医師からは「輸血」が必要な手術を勧められたといいますが、両親は最後まで「輸血」を拒否したといいます。 さらに。 両親が信者・宗教3世 ナオトさん(20・仮名) 「(両親らから)『教えを信仰しているので、輸血はできません』、『そう言いなさい』と。ぼくの言葉で説明するけど、『信仰心がたりない』、『嫌々説明しているように見える』と、そうした理由から、親からムチを受けました」 ――ムチは、どういうふうにうける? 両親が信者・宗教3世 ナオトさん(20・仮名) 「母親は、孫の手などを使って僕をぶつ、みたいな」 成人して、自分で「手術」という選択を選べるようになるまで、ナオトさんは8年間「手術」ができなかったといいます。 ――教団に対しての思いは? 両親が信者・宗教3世 ナオトさん(20・仮名) 「両親たちに対する怒りは消えません。その指示をしたのは、教団の教えです。教団の教えが、家庭を崩壊させているのではと」 一方、教団側は日本テレビの取材に対し、弁護団の調査の事実関係がわからないとしたうえで、「近日中にプレスリリースをお送りする予定」だとしています。 (11月20日放送『news zero』より)