アムロが一年戦争終結前に戦死 小説版『ガンダム』での正史とは違った運命とは
意外と知られていない小説版アムロの設定
『機動戦士ガンダム』の主人公「アムロ・レイ」の逸話で、アニメ版とは異なる小説版での運命が語られることがあります。この意外と知られていない小説版でのアムロについて、アニメ版と小説版の相違を交えて振り返ってみましょう。 【画像】そういやセイラさんとは…こちらがその小説版第2巻&アニメ版のサービスシーンです(5枚) ここでいう「小説版」とは、『ガンダム』がTV放送中に朝日ソノラマ社のレーベル「ソノラマ文庫」のラインナップのひとつとして発行されたものです。第1巻の発行日が1979年11月30日でした。現在では「角川スニーカー文庫」から発売されています。 この小説を書いたのは『ガンダム』の総監督である富野喜幸(現:富野由悠季)さんでした。後に富野さんは「スポンサーに左右されない独自の世界を書きたかった」と述べています。その点からも、小説版は富野さんが意図していた本来のガンダム世界といえるかもしれません。 小説版に登場するアムロは、登場時からアニメ版と大きく異なる点がありました。それはアニメ版では15歳(一説には16歳)の民間人でしたが、小説版では19歳のパイロット候補生。階級は曹長です。そして物語はアムロがコア・ファイターの訓練をするところから始まりました。 ちなみに母艦はホワイトベース級一番艦「ペガサス」です。アニメ版ではペガサス級ホワイトベースですから、まったくの逆といえるでしょう。こうした名称だけの変更点もあれば、アムロのように大幅な設定変更がされたキャラクターもいます。 アムロの設定変更が物語に与えた影響は少なくありません。なぜならアニメ版では民間人だったアムロが戦いを通して成長していくというドラマが主軸のひとつでしたが、小説版ではその部分がオミットされてストーリーがシンプルになったからです。 そのためか物語のテンポも速く、小説版では地球への降下をせずに舞台は宇宙だけになっていました。具体的に説明すると、サイド7での戦闘でアムロは「ガンダム」に乗り込んで「ザク」を撃退、その後は避難民を乗せて脱出するところまでの流れは同じです。 それからルナツーに向かいますが、「シャア・アズナブル」の妨害を受け、「ジオン公国軍」の宇宙拠点「キャリフォルニア・ベース」の「ガルマ・ザビ」率いるガウ部隊との戦闘となりました。これらはすべて宇宙での出来事です。 この戦闘でガルマは戦死、ペガサスはルナツーに到達しました。ルナツーで避難民を下ろしたペガサスは、「レビル将軍」からこれまでの活躍を称賛され、正式に第十三独立部隊として「テキサスコロニー」へと向かうことになります。この時、クルーの昇進も同時に行われてアムロは少尉となりました。 テキサスではシャアのザクと「ララァ・スン」の「エルメス」と交戦します。アムロはここで初めてララァと出会い、感応するもののエルメスを撃墜しました。しかし、この戦闘でガンダムは大破してしまい、アムロはコア・ファイターで脱出します。 最後に宇宙世紀0080、戦争は終わってはいない……という一文で第1巻の物語は幕を閉じました。