無名女子でも月収50万は夢でない? ネットが芸能界のあり方を変える
ネットが芸能界のあり方を変えつつある。一般的には無名クラスの女の子たちが、ネットを駆使し月収50万円も夢ではないという世界に繰り出している。YouTubeはもちろんのこと、DeNAが提供する「SHOWROOM」など、演者のトークやパフォーマンスを動画で生配信するようなアプリも登場してきた。こうしたネットの動画ツールが、彼女たちの武器になっているのだ。
間口の広がったアイドル界 流れ変えたAKBとあまちゃん
昭和の昔と比べ、ネット時代の芸能界はタレント、タレント予備軍の間口が大幅に広がった。スカウトやオーディションなどで芸能プロに所属、専門家からボーカルや振付、演技といったレッスンを受け、プロフェッショナルなマネージメントのもとテレビ番組出演などを獲得するオーソドックスな“コース”を歩むタレントもいるが、近年はそれにプラス、SNSなどネット上で自己発信をすることでライブなど自前のタレント活動に客を集めるマイナーな事務所(多くは“運営”と呼ばれる)や個人が登場してきたのだ。 こうした潮流の影響が顕著なのが、アイドル界。従来の芸能界の常識を覆し、アイドルプロモーションの流れを大きく変えたポイントが2つある。 1つは、2005年12月に秋葉原で専用劇場をオープンしたAKB48。ファンと間近に接することのできるキャパシティの小さな劇場で定期公演を行い、昔は新曲キャンペーン程度しかなかった接触機会を大々的に「握手会」と銘打ちイベント化、「会いに行けるアイドル」という新ジャンルを定着させた。モーニング娘。を擁するハロー!プロジェクトも、それ以前から握手会やファンと行く海外ツアーなどを実施していたが、メインはメディア露出やコンサートといった王道路線。AKB48はその「接触部分」を巧みに抽出し、新しいもの好きなアイドルファンの集客に成功した。 もう1つは、2013年上半期に放送され高視聴率をマークしたNHKの連続テレビ小説「あまちゃん」と地方アイドルブームのリンク。脚本の宮藤官九郎は、ドラマの発想の核に「小さな田舎の、地元アイドルによる村おこし」があると当時会見などで語っていた。 地方アイドル自体は以前から存在したが、AKB48効果でアイドルというジャンルが身近になり、「私もアイドルになりたい」という女の子や、「ウチらもアイドルを作りたい」という運営が各地に続出。「あまちゃん」ブームで全国津々浦々まで“ご当地アイドルブーム”が浸透し、雨後の筍のごとくグループが生まれ、いまや全都道府県に存在する状況だ。 レベルはピンキリだが、俗にローカルアイドルや地下アイドルと呼ばれるクラスのマイナーな女の子たちは、その悲惨な生活ぶりがたびたびメディアでもクローズアップされるようにタレント活動だけではなかなか食べていけない。