無名女子でも月収50万は夢でない? ネットが芸能界のあり方を変える
動画サイト活用で海外進出したBABYMETAL
動画のヒットといえば昨年YouTubeで世界的にアクセスを稼いだ「PPAP」のピコ太郎が思い浮かぶが、昨今のアイドル界も動画サイトを最大限に活用している。 動画は文字情報と異なり、視聴者の言語を問わないので簡単に国境を越えることができる。好例が、ビルボードなど海外のチャートをにぎわしたBABYMETAL。積極的にYouTubeを活用して欧米に効果的なプロモーションを展開、めぐりめぐって最終的にはライブの動員にもつなげている。 第2のピコ太郎、BABYMETALを目指して……というわけでもないだろうが、おもにまだ知名度の乏しいクラスのアイドルたちにとって動画サイトはファンとの大切なコミュニケーションツールになっている。自分だけの番組を持つ感覚でPR。アクセスが安定して多ければ、世間的には無名な女の子にも代理店が食指を動かしバナー広告でマネタイズを図ったり、芸能事務所がスカウトするケースもあるとか。
ファンの応援をマネタイズできるSHOWROOM
東京都内でアイドルのライブや物販などの運営に携わる男性は「ネットの動画サイトを使えば、知名度はなくても月収50万円もねらえる」と話す。 冒頭に名前をあげたSHOWROOMは、視聴者がコメントやアイテムで応援する双方向「仮想ライブ空間」コンテンツ。ツイッターなどで開始時間を告知してファンを集め、ファンは生で配信を見ながらギフティング(有料、無料のバーチャルアイテムを贈る)ができ、演者(配信者)はそれをマネタイズすることができる。バーチャルな物販空間だが、うまく使いこなして実際に月収20万円、30万円と稼ぐ自称アイドルもいると言われる。 「たとえばライブ後の物販でチェキを売って稼ごうとすれば、タレントの取り分を半額としても1枚1000円で300枚売って、やっと15万円。毎月やっても生活できるかギリギリの線ですが、そもそもライブに300人を動員するのは大変なこと。ところがSHOWROOMは会場などの手配もいらず、ファンもスマホなどにアプリをダウンロードすることで気軽に視聴できる。1000人の動員も夢ではない」と先の運営に携わる男性。 そしてそこから、リアルなライブへ動員する手法もあるという。 「ライブは3カ月に1度、半年に1度とか回数を絞る。ネットで頻繁にコミュニケーションできるのに、なかなか会えないという飢餓感をあおるんです。それによって100席や200席といったチケットを完売させ、ライブの動員を上げる。ウチでは『時たま会いに行けるアイドル』なんて言ってますよ」(同)。 SHOWROOMを活用している劇団「うわの空・藤志郎一座」がプロデュースするQuick Theater(QT)もその一つで、“小劇場発”をウリに活動中。興行のノウハウや人脈があるのは強みだ。メンバーの藤田翔子は、「ネットの発信でまずグループを知って、次に個人を知ってくださって、劇場でお客さまに名前を呼ばれることが増えました。すごく嬉しい」と手応えを感じているようだ。 アイドル界も様変わり、メジャーなアイドルたちもウカウカしていられない。ネット時代の先端を行く新たな戦略が求められている。