バーでの過ごし方を心得ている。
誘われた2軒目がカラオケではなく、バーだったとき、その後ろ姿がいつもより大きく見えた。今まで人に連れていってもらったことしかなくて、自分でその重い扉を開けたことなどなかったし、バーでの作法については少し聞きかじったことがある程度。知っているようで知らないバーのことをきちんと学びたいと思って、訪れたのは帝国ホテル 東京の『オールドインペリアルバー』。心配していた堅苦しさなどなく、入門にとてもよいところだった。詳しくは店内の図解イラストを見てもらうとして、「最初の一杯は?」「帽子は取らないとダメ?」など基本を知っておけばあたふたすることも減るし、ゆったり時間を使えるようになる。バーの醍醐味は時間を楽しむところにあるからね。 優等生を目指す必要はないけれど、意識するところから、大人への道は始まる。
脱帽はお忘れなく。
『オールドインペリアルバー』(以下、OIB)に限らず、室内に入ったら脱帽は基本中の基本。男子のショートパンツおよびサンダルもNGだ。言われなくても、そんなマネはしないだろうけど。
ライトの意匠に挨拶を。
店内左奥の壁画や、バーカウンター内のテラコッタは、フランク・ロイド・ライトが手掛けた旧本館の意匠。ゆっくり見渡しながら楽しもう。他のお客さんをジロジロと見ることはしないように。
シガーも楽しめる。
基本、喫煙可。シガー(葉巻)を買えるバーも多い。シガーは吸い終わるのに最低でも30分ほどかかるが、その時間を楽しむのも醍醐味のひとつ。マナーを守って煙を燻らせて。
ボトルには触れてよい。
出されたお酒のボトルに触れるべからずと聞いたことがあったが、スタッフに一声かければ触ってよし。ボトルのラベルには産地や歴史など情報が詰まっているから、むしろ読んでお酒の世界を知ろう。
環境音こそ最高の音楽。
一般的なバーのBGMはクラシックやジャズだが、OIBは夕方以降BGMはなし。談笑する声やバーテンダーがシェイカーを振る音こそが、最高の音楽という粋な計らい。でも、私語はおしとやかに。