来訪者の満足度向上へ 奄美市 世界自然遺産活用で公民連携会議
鹿児島県奄美市の世界自然遺産活用プラットフォーム(公民連携会議)の2024年度第1回会合が6日、市役所委員会室であった。安田壮平市長がコアメンバー(会議の委員)14人に委嘱状を交付。座長に鹿児島大学法文学部講師の馬場武氏を選任した。今年度は世界自然遺産を目的とした来訪者の満足度向上や観光の高付加価値化に向けた提言を目指す。 同プラットフォームは、奄美・沖縄の世界自然遺産登録効果の最大化を目的に22年5月に市が設置。民間や一般市民を交えた「公民連携型」の会議体で、これまで奄美の自然や文化の保護・活用、温室効果ガスの削減などをテーマに地域振興に向けた方策を市に提言してきた。 今年度の委員は市や県の担当部長、観光事業者、エコツアーガイド、地域通訳案内士などで任期は1年間。馬場氏は情報と知識の経営学などが専門で市の幸福度調査にも携わっている。 会議では馬場氏が来訪者への満足度調査結果を紹介した後、委員らは3チームに分かれて、ありたい姿と現状、そのギャップ(隔たり)を議論。ありたい姿に奄美大島中長期観光戦略(あまみ大島観光物産連盟策定)の「誰もが訪れたくなる島、いつまでも暮らしたい島」を設定し各委員の認識を共有した。来訪者の満足度や再訪意向の向上につながる奄美の現状として、人の良さや自然、食、観光地化していない点などが挙がった。 課題としては、受け入れ体制や多言語対応、交通手段などが指摘され、島の良さを伝えるコンシェルジュ的な役割が必要として「人と自然のつながりを学ぶツールや場」「来訪者向けの総合窓口設置」「次世代への継承」など提言につながる意見もあった。 馬場氏は「足りない資源を増やすのではなく、立場の異なる専門家が知識や知恵を出し合うことで、今ある資源を活用した新たな解決策を提言したい」と話した。次回は10月に議論し、来年2月の会議で提言案を取りまとめる予定。