プーチン大統領の使者東京へ 新ロシア大使に初の単独インタビュー 緊迫の80分
沈黙を守ってきた新しいロシア大使が、日本テレビのカメラの前で初めて記者の質問に答えました。東京に留学経験があり、全てのやりとりを母国語でなく日本語でこなす姿から読み取れるプーチン大統領の狙いとは。
■日本メディア初取材へ
在日ロシア連邦大使館、特命全権大使ニコライ・ノズドリェフ氏(52)。ウクライナ侵攻を続けるロシアが「非友好国」とみなす日本に派遣した外交官は、今年3月の来日以降、4か月にわたり、一切のメディア取材を受け付けませんでした。厳しい制裁を行う日本政府とは交流もないノズドリェフ大使の肉声がわずかに聞こえたのは、インタビューの1か月前、東京港区のロシア大使館で行われた「ロシアの日」式典でのスピーチでした。 ノズドリェフ大使 「西側の帝国主義的なやり方に対抗して、私たちは公正で持続可能な国際的アーキテクチャの構築を目指して、リーダーシップを発揮していく構えです。グローバルサウスやイースト、西側の国々でも、志を同じくする人の支持を感じています」 その言葉から欧米中心の世界秩序への強い対抗心が見て取れました。
■キーウ攻撃で小児病院に多数の死者
7月10日、ようやくインタビューが実現しました。直前の8日、ロシア軍によるウクライナの首都キーウへの攻撃により、小児病院などで子どもを含む死者が多数出ました。私たちは冒頭、この件についてコメントを求めました。 ──ロシアの攻撃で子どもを含めた民間人が犠牲になっている現状について、大使はどのように考えますか? ノズドリェフ大使は質問に直接答えず、ウクライナの親ロシア派政権崩壊につながった2014年のマイダン革命当時の情勢に話をすり替えると、欧米の陰謀で動かされた武装集団がロシア系住民の殺りくを繰り返しているなどと、とうとうと語り始めました。 初期の停戦交渉が頓挫したのも西側の責任だと、独りよがりな主張を始めたところで、私たちは大使の話をさえぎって質問をぶつけました。 ──プーチン大統領は、もともとG8のメンバーで、国連安保理常任理事国の首脳であり、国際秩序・国際法にのっとった行動が求められる立場です。ウクライナ侵攻は『力による現状変更』であり、国際秩序を乱すものと受け止めますが、いかがですか? 大使は今度も、この質問に直接答えず、ようやく冒頭の質問に答えました。 ノズドリェフ大使 「おととい行ったキーウに対する攻撃で、破壊をしたのはノルウェー製のNASAMSという対空防衛システムのミサイルだったのです。つまり、ロシアのミサイルを迎撃しようとして、最終的に誤った操縦があったかもしれません」 子どもを含む42人が死亡した小児病院などへの攻撃について、「ウクライナ側の迎撃ミサイルによるものだ」と主張しました。