虎のソナタ 「代打オレ」言いたくなっているかも!? 猛打で昇りつめた85年、いま岡田選手がいてくれたら…
(セ・リーグ、阪神-DeNA=降雨中止、23日、甲子園)午前中に中止が決まるなんてめったにない。グラウンドを覆っていたシートは、はがすのに時間がかかる黄色(盤石タイプ)ではなく、比較的短時間ではがせるグレー(簡易タイプ)。「阪神園芸、やる気満々!」と勝手に予想していただけに、拍子抜けだった。 それだけ天気予報がよくないのか? 勢いに乗る難敵DeNAと戦うのは「今」ではなく「シーズン終盤」と判断したのか? 大慌てで取材に奔走するサブキャップ原田遼太郎以下、精鋭トラ番部隊を眺めながら、中止の理由を好き勝手に考えていた。 トラ番にとって、中止決定は悪夢以外のナニモノでもないが、選手は意外に笑みが見える。昔から、プロ野球選手は雨天中止が大好きだ。中止の一報に歓声をあげる選手たちを何度も見てきた。 どうせ、シーズン終盤に組み込まれるから、もう一度、試合をしなければいけないのに、なぜか中止を歓迎する。シーズン終盤に過酷な10何連戦になろうが、超過酷な2日連続ダブルヘッダーになろうが、昔から万歳するのがプロ野球選手。不思議だ。 予備日が設定されていない、今年の阪神-DeNA。どの日に組み入れられ、どんな状況で両チームが対戦するのか? 今は誰にも分からない。混戦が続くセ・リーグ。大一番の可能性十分だ。 ただし、大一番になるためには、やっぱり貧打は解消する必要がある。先日も、岡田監督が〝公開〟で森下を指導する超レアな光景が見られた。 猛打で日本一に昇りつめた1985年。言わずと知れた、バース、掛布、岡田のクリーンアップが猛威を振るったシーズンだった。岡田は打ちまくっていた。あんなシーズンが毎年来るとは思わないが、それにしても、今年は打てなさすぎる。いま、岡田選手がいてくれたら…な~んて思ってしまう。 今からちょうど68年前の56年6月24日、甲子園で広島と戦っていた阪神は、九回表を終わった時点で0-1で負けていた。八回までわずか2安打。それでも九回裏に2死満塁とチャンスを作った。 ここで、球審に歩み寄ったのは監督・藤村富美男。ご存じ、初代ミスタータイガース。そして、こう告げる。