近頃の“AI推し”は過剰なのか 過度なアピールは購買意欲減退のおそれ、アップルは製品発表で一度も“AI”発さず
OpenAIのを筆頭に、人工知能(AI)技術の急速な進歩と活用が進み、多くの企業が製品やサービスにAIを組み込む社会実装が進んでいる。もちろんスマートフォン業界でもグーグルやアップル、サムスンといった大手メーカーを中心にその動きは顕著である一方、消費者の反応をうかがうような傾向が見られている。 【画像】写真アプリ、メッセージ、Siri、メール、イラスト生成…日本でも今後使える「Apple Intelligence」のイメージ(全4枚) 先日の9月上旬、アップル社が行った最新の製品発表会「It's Glowtime」にて、iPhoneへのAI関連機能の搭載を紹介していたが、各種資料において、同社が一度も「Artificial Intelligence」という言葉を使用しなかったことが話題になった。 代わりにアップルは「Apple Intelligence」という独自の用語を使用。これは日本語でも2025年より実装が決まった、同社のAIツール群の名称でもあり、オンデバイスでの処理を行うことでプライバシーと安全性を担保しているとアピールしていた。 また、アップルの英文プレスリリースでも同様にArtificial Intelligenceという文言は見当たらなかった。また、セキュリティに関する懸念を払拭べく、クラウドを活用した「Private Cloud Compute」についても「ユーザーのデータが保存されたり、アップルと共有されたりすることはありません」と説明。アップルはAI機能の紹介や表現手法に関して慎重なアプローチをとっていることがうかがえる。
「AI」を含めると購買意欲が低下のおそれ、米大学の研究チーム発表
今年7月、ワシントン州立大学の研究チームが主導した研究によると、企業が自社のテクノロジーを活用した製品を紹介する際、「人工知能」という言葉を含めることで、意図せずに売上に損害を与える可能性があると発表。消費者の購買意欲が低下する傾向が見られたという。 研究チームは、様々な製品カテゴリーで実験を行い、一貫してAIに言及した製品の人気が低いことを発見したとして、特に高価な電子機器や医療機器、金融サービスなどの「ハイリスク」な製品やサービスでは、この傾向がより顕著だったという。筆頭著者によれば「AIが言及されると、感情的な信頼が低下する傾向があり、それが購買意欲の減少につながる」としており、「AIを強調することが常に有益とは限りません」とアドバイスしている。 アップルがこの研究を参考にしたかについては不明なものの、Apple Intelligenceを初めて発表した6月時点でも今回同様にプライバシーに関する説明に多く時間を割いていたため、同等の理由で気にはかけているようだ。