絶対王者・帝京大を34連勝で止めた!4年ぶり撃破の立役者・早大スーパールーキーの武器とスピードの源
◆ラグビー▽関東大学対抗戦 早大48―17帝京大(3日、秩父宮ラグビー場) 早大が帝京大に48―17で勝って4勝目。対抗戦3連覇中で大学王者の連勝を34で止め、帝京大からは20―21年シーズン以来、4年ぶりの勝利を挙げた。1年生のWTB田中健想(けんぞう)が前半だけでハットトリック、計5トライの大暴れ。この日、早大の7トライは全て1年生が挙げ、6季ぶりの対抗戦優勝に向けてルーキーが勢いをつけた。明大は筑波大を31―0で退け、無傷の5連勝とした。 王者・帝京大に早大のスーパールーキーが襲いかかった。WTB田中は、前半13分の先制トライから22分までにハットトリック。後半も2トライをねじ込んだ。帝京大がここまで対抗戦4試合で奪われたトライ数は5だったが、田中は1人で計5トライを奪った。帝京大から4年ぶりの勝利に貢献し「ターゲットにしていた試合。うれしい」。試合後は最優秀選手にも選ばれ、白い歯をこぼした。 圧巻だった。前半19分、敵陣22メートル内でのスクラムから右へ展開。桐蔭学園の先輩、FB矢崎からパスを受け一気にインゴールに飛び込んだ。43―10の後半40分は、右サイド中央付近で相手パスをインターセプト。約50メートルを独走し、秩父宮の1万2883人の観衆を沸かせた。この日はSO服部も2トライで、計7トライを1年生だけで奪取。大田尾竜彦監督(42)も「1年生ながら、堂々としたプレーだった」とうなる大活躍だった。 身長172センチとサイズはないが、スピードと中学3年まで続けた柔道で培った体幹の強さが武器。さらに指揮官は「スイッチを入れられる」と、勝負強さも評価する。昨季は桐蔭学園でも花園決勝でトライを挙げ、攻守で優勝に貢献。憧れは、身長176センチながらW杯2連覇の南アフリカで活躍するK・アレンゼ。試合中は以前のアレンゼと同じヘッドキャップを着用し、その“スイッチ”を入れる。 高校でも先輩だった矢崎は今季、日本代表でもプレー。田中は「刺激になる。学ぶことが多い」と背中を見て成長している。「矢崎さんみたいになれるかはわからないけど、追いかけていきたい」。日本代表のエディー・ジョーンズHCが「ケンゾー」と呼ぶ日は、そう遠くない。(大谷 翔太) ◆田中 健想(たなか・けんぞう)2005年8月7日、名古屋市出身。19歳。経験者の父の影響で4歳から「ワセダクラブ」でラグビーを始める。神奈川・桐蔭学園に進学し、3年時に全国高校ラグビー大会で優勝。文武両道を目指し、24年に早大進学。名前の「健想」の由来は、明大ラグビー部OBでプロレスラーの鈴木健三。172センチ、76キロ。
報知新聞社