迫力ある音色響かせ 地震で神社倒壊も伝統の御陣乗太鼓再開 輪島
能登半島地震の発生から2年目を迎えた石川県輪島市では、被災当時に中止になった年明けの伝統行事などが開催された。参加者は昨年の被災時を振り返りながら、2年ぶりに地元で行事ができたことに安堵(あんど)していた。 【写真まとめ】全国各地 日本の祭り 輪島市名舟町では2日、県無形民俗文化財の伝統芸能「御陣乗(ごじんじょ)太鼓」の打ち初め式があった。集まった住民らに、打ち手が迫力のある音色を響かせた。 御陣乗太鼓は戦国時代に越後・上杉謙信の軍勢が能登を攻めた際、地元の村人たちが太鼓を打ち鳴らして退けたことが起源とされる。打ち初め式は例年1月2日に同町内の白山神社で続けられてきたが、地震で建物が倒壊。昨年は3月に町外に場所を移した。 今年は町内の集会所で実施した。16人の保存会メンバーや地元の子供たちが代わる代わる勇壮なリズムを刻み、打ち手が大きく手を広げて見えを切ると、拍手が湧き起こった。 仮設住宅に暮らす打ち手の堂田周倫(かねみち)さん(49)は「地元で打ち初め式をすると聞いてうれしかった。いつかは『あのときは大変やった』と笑える日がくればいい」。輪島中2年の脇本功太さん(14)は「これからも名舟で伝統を受け継いでいきたい」と話した。【国本ようこ】