Apple Intelligenceの利用で、iPhoneユーザーは「追加費用」が必要なケースも
Apple IntelligenceがiPhoneとMac向けに登場し、アップルが生成AIに足を踏み入れた最初の一歩が公開された(日本では2025年から)。現在、利用可能なAIアプリはごく一部で、iOSとmacOSへのChatGPTの統合は12月に予定されている。 これはアップルにとって異例の出来事だ。同社はこれまで、ユーザー体験と個人データの管理を社内システムで一貫して行うことを誇りにしてきた。しかし、ChatGPTの導入は、生成AIの広範なコミュニティと関わろうとするアップルの新たな野心を示していると同時に、競合他社に対して技術面で遅れを取っていることをも示している。 さらに、Apple IntelligenceにChatGPTを追加することで、ユーザーがその恩恵を十分に享受するためには追加のコストが発生する。 ■ChatGPTをiPhoneとSiriに追加 iOS 18.2の第2ベータ版は12月にリリース予定で、Apple Intelligenceのアプリ第2弾が搭載される。このベータ版に関する報告で、ジュリ・クローバーは、システム設定内でChatGPTの1日あたりの使用制限が表示され、さらに有料のChatGPT Plusプランへのアップグレード、もしくは旧型のAIモデルに移行するオプションが提供されていると指摘している。 既存のChatGPT PlusユーザーはiPhoneでログインが可能であり、新規ユーザーにはChatGPT Plusへのアップグレードオプションが用意されている。この際に、アップルが月額20ドル(約3100円)のサブスクリプション料金に対して、通常の30%の手数料を取るかどうかがユーザーにとっては大きな関心事だが、上記報告の中では触れられていない。
アップルがユーザーに追加料金を課すという点で初の事例
OpenAIは長い間、ChatGPTを複数のプランで提供する形をとってきたため、アップルによるこのアプローチは前例がないわけではない。しかし、ティム・クックたちの選択は、他のスマートフォン向けAIプラットフォームとは対照的だ。グーグルやサムスンは、それぞれのユーザーに無料のAI搭載ツールを提供し、プラットフォームの有用性を広めている。一方で、アップルは基本的なサービスは無料で、追加機能に課金するフリーミアムモデルを採用している。ただし、グーグルのAIやGeminiやGalaxy AIの利用規約には、将来的にAIサービスが有料になる可能性があると小さく記されていることに注意すべきだ。 ■追加料金はApple Intelligencの普及にどれだけの影響を与えるか アップルの生成AI導入に対する慎重な姿勢は、Apple Intelligenceのマーケティング内容とは対照的だ。iPhone 16シリーズはApple Intelligenceが一般公開される1カ月前に発売されたが、Apple Intelligenceの遅れがマーケティング資料に反映されているとは言い難い。それにもかかわらず、AI機能が新しいiPhoneの重要な特徴であることが強調されており、英国のモバイルネットワーク各社は、自社のマーケティング資料にAI機能の提供の遅れについて注意書きを加えざるを得ない状況にある。 生成AIはiOSやmacOSを含むあらゆるプラットフォームで消費者体験を変革しつつあるが、アップルのこの分野への参入は、ユーザーに追加料金を課すという点で初の事例の1つとなる。このことが、AndroidやWindowsのような「コストサポート付き」の生成AIプラットフォームと比べて、Apple Intelligenceの普及にどれだけ影響を与えるかは、今後数カ月間で注目すべき指標となるだろう。
Ewan Spence