自然災害の教訓や記憶を次代へ 語り部シンポ、兵庫県淡路市で開幕 「阪神・淡路」旧北淡町の富島地区巡る
自然災害の教訓や記憶を語り継ぐ「全国被災地語り部シンポジウムin阪神・淡路」(神戸新聞社など後援)が7日、兵庫県淡路市内で始まった。参加者は、北淡震災記念公園(淡路市)で、阪神・淡路大震災で地表に現れた野島断層を見学した後、淡路島内で特に被害が大きかった旧北淡町(同市)の富島地区を歩いた。地区の出身者は「木造民家が崩れたがれきの山で、歩きにくかった」と当時の様子を説明した。 【写真】犠牲者の名前が記された慰霊碑などを参加者が見て回った 北淡震災記念公園の語りべボランティアや、雲仙岳災害記念館(長崎県島原市)など、災害被災地にある団体でつくる実行委員会が2016年から始めた。兵庫での開催は、21年に続いて3回目。初日は全国から約30人が参加した。 同公園では職員が、震災で島北部に約10キロにわたって現れた地面のずれが野島断層と紹介。「土が軟らかい部分は、地割れとなっている」などと特徴を示した。 まちあるきの舞台の富島地区は漁師町で、震災当時は古い木造家屋が多く、約8割の家屋が全半壊した。 同地区出身で同公園職員の田中賀子さん(49)が案内役を務め、震災前の町の様子を「家屋が密集し、道も車が1台しか通れないほど狭かった」と振り返った。町を流れる川の前では、「がれきの山で道が通りづらく、遺体を背負って川の中を歩いた人もいた。私も(川を)歩いた」と自身の経験を語った。 参加者はほかに地区の犠牲者の名前が記された慰霊碑や、一時避難所となった小学校などを見て回った。 最終日の8日は、ホテルオークラ神戸(神戸市中央区)などで開催。災害の語り継ぎをテーマにした対談やワークショップなどがある。(中村有沙)