地方鉄道存続で和歌山県が国に支援を強く要望
和歌山県内のほとんどの鉄道路線では利用者の減少による赤字が深刻で、存続が危ぶまれる状況に陥っているため、和歌山県は国に対し「地方の鉄道路線は地域経済や住民生活を支える重要なインフラ」として、鉄道会社の採算性だけで存廃を判断されることがないよう、黒字路線の収益を配分するためのルールづくりや、新年度(2025年度)予算で設備の維持・修繕に対する支援の拡充などに取り組むよう要望しました。 県内では、JR西日本が紀勢線の新宮・白浜間の2023年度の収支がおよそ29億の赤字になっているとして、存廃について検討しています。 岸本周平知事は「我々は運命共同体だ。乗客増に向けて協力したい」と述べ、沿線の市町村と連携して様々な利用促進策を企画し、JR側と存続に向けた協議を続けています。 また、御坊市(ごぼうし)を走る日本で2番目に短い紀州鉄道では、年間およそ5千万円の赤字が続いていて、線路や踏切の修繕など安全施設の更新も厳しい状況で、燃料の高騰や運転手の不足なども重なって、国の補助を受けても経営状況の改善にはほど遠く、廃線も危惧されています。 県では「地方の鉄道路線は維持修繕費用の負担が大きい上に、近頃頻発する豪雨災害などで多額の復旧費用も必要となっているが、国の補助制度は対象の事業者が限定的で、十分な予算措置がされているとは言いがたい。鉄道事業者による路線の維持が困難な場合は、地方自治体の財政負担による継続には限界がある」などと指摘し、国に地方路線の設備更新や維持修繕への支援の拡充、上下分離など、国策として鉄道ネットワークを維持するための考え方を示すよう、強く要望しています。 こうした状況について県内の鉄道事業者は「地方の鉄道存続のためには、現状を変えなければ大変厳しい。廃線するにも、線路や駅を更地に戻すのに億単位の費用がかかる。いったん廃線になれば地域の財産が無くなり、衰退に歯止めがかけられなくなってしまう」と苦しい胸の内を語っています。