【40代、50代・ポスト更年期の基礎知識】更年期後の膣ケア/膣内の善玉ラクトバチルス乳酸菌が減少。含有製品によるケアで膣免疫を高められる
膣内に存在する善玉菌のラクトバチルス乳酸菌は、閉経後に減少、自家産生できなくなる。産婦人科医の吉形玲美さんの調査によると、ラクトバチルス乳酸菌含有のフェムケア製品を使用したところ、病気の原因となる雑菌のブロックや、過活動膀胱の改善が明らかに。閉経後のフェムケアの重要性が見えてくる。
Q. ポスト更年期も腟ケアは必要なの?
A. 病気予防のセルフケアとして、腟免疫を上げる習慣は必要です 「閉経により、本格的に善玉菌のラクトバチルス乳酸菌の自家産生ができなくなるポスト更年期。腟内の善玉ラクトバチルス乳酸菌を補い、腟免疫を高めるには、①善玉菌のラクトバチルス乳酸菌含有のフェムケア用品を使う、②女性ホルモン含有の腟坐薬を使う、③更年期症状もある場合はHRTも選択に、という3つの方法があります。 特にラクトバチルス乳酸菌含有のフェムケア用品の使用では、病気の原因となる雑菌のブロックや、過活動膀胱の改善が明らかになりました(下のグラフ参照。おすすめのケアグッズは<【40代、50代・更年期の基礎知識】「閉経したらセックスに影響がありますか?」>参照)。フェムケアは、病気の予防にもつながるセルフケア。ポスト更年期も続けることを推奨します」
●閉経後の被験者3人に1人が過活動膀胱の疑い。腟免疫の低下がうかがわれる 閉経後で過活動膀胱の疑いのあるグループ(未閉経例1人を含む)が、ラクトバチルス乳酸菌含有のフェムケア用品を4週間使用する研究を吉形先生が実施。その結果、腟内へのラクトバチルス乳酸菌介入前と介入後では、過活動膀胱症状質問票(重症度の判定に用いるスコア)で、OABSSスコア3点以上(=過活動膀胱の疑いあり)の人で平均2.2ポイントの有意な改善が見られた
●ラクトバチルス含有プロダクトによるフェムケアを4週間使用した後の病原菌割合の比較データ 閉経した人のうち、ラクトバチルス乳酸菌含有のソープ、クリーム、腟ジェルを使用したグループでは、病原菌の割合が有意になったことを確認。未閉経例を含む全体でも減少傾向に Remi Yoshikata,et al.PLOS ONE 2022.より引用
【教えてくれたのは】 吉形玲美さん 産婦人科医、医学博士。浜松町ハマサイトクリニック特別顧問。大学病院で医療の最前線に立ち、女性医療・更年期医療のさまざまな臨床研究にも数多く携わる。女性予防医療を広めたいという思いから、現クリニックへ。更年期、妊活、月経不順など女性の体のホルモンマネジメントが得意。著書に『40代から始めよう! 閉経マネジメント』(講談社) イラスト/平松昭子 小柳東子<グラフ> 構成・原文/井尾淳子