年収1,200万円の48歳エリートサラリーマン、年金月26万円・70代両親のため「サ高住」入居を援助も…自らの“老後破産危機”に絶句【CFPが解説】
高齢の親が金銭的に困っていることを知ったら、多くの人は「なんとか援助できないか」と考えるでしょう。ただし、場合によっては自分自身の老後破産リスクが高まることもあるため注意が必要だと、牧野FP事務所の牧野寿和CFPはいいます。老後破産リスクとは無縁そうな「年収1,200万円のエリートサラリーマン」Aさん(48歳)の事例から詳しくみていきましょう。 【早見表】年金に頼らず「1人で120歳まで生きる」ための貯蓄額
営業成績トップのエリート…“将来安泰”がわかり、家探しへ
都内に本社を置く中堅専門商社に勤める独身のAさん(48歳)。営業課長を務めるAさんは常にトップクラスの営業成績を誇り、年収は1,200万円、貯蓄は4,500万円ほどあります。 このたび、社長から直々に部長昇進の辞令を受け、さらに「55歳くらいには役員に抜擢するから、その心づもりもしておくように」と言われました。 上司にその話をしたところ、上司からは部長職になったあとの給与について教えられました。 「部長職になれば営業成績による報奨金はなくなるけど、年収はいままでどおり1,200万円だと思う。役員に昇格するときに退職金が900万円支払われ、65歳までの役員報酬が1,300万円。退任するときに退職慰労金が最低1,500万円は支給されるよ」。 Aさんはいままで国内外ともに転勤が多く、社宅扱いの賃貸住宅に住んでいました。しかし、上記の話を聞きおおよその生涯の収入もわかったことから、「終の棲家」とするマンションを都内で探し、購入することにしました。 両親に喜びの報告…しかし、思わぬ返事が Aさんの実家は、都心から車で3時間くらいの地方都市にあり、そこには父(79歳)と母(76歳)が住んでいます。 ひとりっ子のAさんは、高齢の両親が心配なこともあり、たびたび実家に帰っています。今回の帰省の折、両親に昇進が決まったことを報告すると同時に、勇気を出して「都内にマンションを買うことにしたんだけど、よかったら一緒に住まない?」と誘ってみました。 すると父から、思わぬ返事がかえってきたのです。 「うーん……都内には住むのは気が引けるなあ。だけど実は、ここにも住めなくなったんだよ」。