上手さも、走力も進化して迎える夏。神村学園MF名和田我空は「本気で」、鹿児島県勢初の日本一を取りに行く
本気で、鹿児島県勢初となる夏の日本一を取りに行く。令和6年度全国高校総体(インターハイ)男子サッカー競技(福島)は26日に開会式、27日に1回戦がそれぞれ行われる。神村学園高(鹿児島)の日本高校選抜MF名和田我空(3年=神村学園中出身)が、鹿児島県勢最高成績の準優勝(93年度の鹿児島実高)を超え、初優勝することを誓った。 【写真】コパ決勝で大胆に胸を露出? アルゼンチンの美女サポーター2人が話題になるも真相は… 名和田は昨年のU17アジアカップで得点王とMVPの2冠。U-17ワールドカップでもスペイン戦で鮮烈ゴールを決めているが、過去2年のインターハイはいずれも得点できず、初戦敗退に終わっている。 「今年は(監督の)有村(圭一郎)先生からも『夏を取りに行くぞ』っていうことは言われてるので、そこは本気で」と名和田。昨年は初参戦のプレミアリーグWESTで好スタートを切りながら、インターハイ予選決勝翌日に行われた神戸U-18戦(0-5)からチームは調子を崩し、夏の全国大会を1試合で終えている。 だが、今年はインターハイ予選後に広島ユース、鹿児島城西高(鹿児島)、米子北高(鳥取)相手に3連勝。7月13日の名古屋U-18戦は2-4で敗れたものの、状態は上向きだ。「今年は最初負けてて、自分たちでもがいて、もがいて、ここまで少しは積み上げてきた」(名和田)。以前は名和田が孤立して引っ張っているような感覚があったというが、現在はチーム状況の良さも手伝って、仲間たちが一緒に盛り上げ、勢いに乗ってくれている。 神村学園は日頃から徹底して磨いている技術力や判断力、スピード、力強さといった個々の特長をピッチ上で表現。多彩な攻撃でゴールを量産している。加えて、名和田自身、これまでの違いとして感じている部分が走力の向上だ。 3200m走のメニューを12分間以内で走ることが、現在のチームの基準。「今年、ちょっともう、『えげつないぐらい』走っているので、そこは自信に変えて、やっています。(世界も経験して)このままじゃダメだぞっていうのもありますし、偏見じゃないですけど、『神村って走るの』って聞かれることがあるので(微笑)。そこは試合で(神村学園の特長である)足元もありながら走るっていうのをやったら日本一に近づくかなって思うし、今年は本気で日本一を取りに行くってことをチームで掲げてるので、やり続けています」と説明した。 ドリブル、パス、シュートで違いを生み出す名和田は大会屈指のアタッカー。加えて、DF鈴木悠仁主将(3年)やDF{新垣陽盛}}(3年)、MF福島和毅(2年)らU-17日本高校選抜や同候補を多数擁し、MF佐々木悠太(2年)やMF徳村楓大(2年)ら下級生の台頭も目覚ましい。 7月19日から21日まで参加した第13回堺ユースサッカーフェスティバルでは、ともにインターハイ出場校の近大和歌山高(和歌山)に6-0、山梨学院高(山梨)に5-2で快勝。昨年度の選手権準々決勝で敗れている近江高(滋賀)戦はメンバーをシャッフルしたこともあってか勝ち切れなかったものの、2度のビハインドを追いつき、引き分けに持ち込んでいる。これまで以上の準備をして臨むインターハイ。手応えを持つ一方、しっかりと足下を見て初戦に挑む考えだ。 今年、主役になることを宣言していた名和田にとっても、自身の力を証明する大会だ。前期のプレミアリーグWESTは得点ランキング2位の9得点。MF松下永遠(3年)の成長もあって、ゲームメークよりも得点を取ることに比重を置くことができている。 「毎試合得点できてるので、そこは結構、自分の中で手応えを感じているところです。スペースを見つけて抜け出すところだったり、あえて止まってシュートコースを自分で作って打つところだったりっていうのは、シュートの本数も増えてますし、それはいいところかなと思います」。その一方、「目標にするところはまだまだ上で。それは遠くにあるので、まだまだ満足することはないと思います」と厳しい。シュートの精度を欠く部分もあるだけに、1本にこだわって得点を積み重ねていく。 チームリーダーとして、隙を作らないことも自分の役割。「伝え続けることが大事なので、自分が諦めるっていうか、伝えるのを止めるんじゃなくて、そこはしつこく伝え続けて、ほんとに足元をしっかり見ながらやっていきたいです」。選手権は鹿児島実が2度日本一に輝いているが、インターハイ優勝はまだ、ない。鹿児島県のサッカーを盛り上げることも自分たちの役目。神村学園中に初の日本一をもたらした3年前の全国中学校大会の再現なるか。西目高(秋田)との初戦から決勝まで勝ち抜き、神村学園高と鹿児島県の歴史も塗り替える。