眞栄田郷敦&高橋文哉&板垣李光人、役者として頑張っていきたいと思った出会いを明かす<ブルーピリオド>
数々の漫画賞に輝き、世界で話題を集めた「ブルーピリオド」が遂に実写化。美術という初めて夢中になれるものと出会ったことで人生が一変する主人公・矢口八虎を演じるのが眞栄田郷敦。八虎の同級生で女性的な容姿を持つユカちゃん(鮎川龍二)役に高橋文哉、八虎の最大のライバルとなる天才少年・高橋世田介役に板垣李光人と、今をときめく実力派若手俳優が集結。本記事では、美術への奮闘劇をまぶしいほどの青春ストーリーとして完成させた3人に直撃インタビューを実施した。 【写真】可愛すぎる…高橋文哉の女装姿 ■眞栄田郷敦は「ついていきたいと思わせてくれる背中の持ち主」「集中力がすごい」 ――美術の道を志す主人公が“努力することが才能になる”と情熱を武器に邁進する姿から勇気をもらえました。それぞれの役柄を演じた“この人のこういう才能が羨ましい”と思ったところはありますか? 眞栄田郷敦(以下、眞栄田):板垣くんは、人と違う感性と美術センスを持っていそうな雰囲気が滲みでているところが羨ましいです。高橋くんは、ユカちゃんとして、自分が現場でどういう立ち振る舞いをしたらいいか掴んでいて、美術部メンバーともすぐに打ち解けていて。僕は役と一緒で周りとワイワイ話さないし、馴染んでなかったので、羨ましかったですね。もう現場の雰囲気作りからしてユカちゃんでしたから。 高橋文哉(以下、高橋):うれしいです。ユカちゃんは、みんなから好かれているので、僕もみんなから自分を好きになってもらえるように頑張ろうと思っていました。すっかり役の影響を受けて、美術部女子メンバーとメイクやエステの話で盛り上がりました(笑)。 板垣李光人(以下、板垣):文哉は今回の現場では芝居で対峙することはなかったですけど、他の現場では、全員とちゃんと横に並んで寄り添って進めていく力がある人だなって思いました。今、郷敦さんの美術部メンバーとのエピソードを聞いて、やっぱりそうなんだな、と。 高橋:板垣くんとは趣味嗜好も真逆なのにわかり合えている気がして、仲良しなんですよね。板垣くんって、本人は自分を表現するのは得意じゃないって言っていますが、こちらから見ると、思いが手に取るように伝わってくるタイプなのが羨ましいです。郷敦くんは、しっかりとついていきたいと思わせてくれる背中の持ち主なのが羨ましいです。僕は安心してユカちゃんとしていられました。 板垣:郷敦さんは、終盤のヌードデッサンを書き上げるシーンの集中力がすごくて。僕は監督と一緒にモニターで見ていたのですが、郷敦さんはもちろんスタッフ一同、その絵に懸けるエネルギーの吸引力が素晴らしかったです。 ■役者で頑張っていきたいとスイッチを入れてくれた人との出会い ――主人公の八虎は、早朝の渋谷の風景をきっかけに、美術の道を志しますが、皆さんが役者を目指すきっかけになったきっかけを改めて教えて下さい。 眞栄田:僕は初めて映画出演のお話をいただいたのがきっかけ。それまでは全くこの世界に入ろうと思っていなかったです。最初は、上手くお芝居を体現できない悔しさから入りましたね。八虎も最初から美術が得意ではなくて、上手く描けない悔しさがあったと思うんです。やるうちにやりがいを感じられるようになっていったのは、僕も八虎と同じです。 高橋:17、18歳ぐらいまでは料理の道に進みたいという夢を持っていました。「仮面ライダーゼロワン」(2019年)のオーディションで合格をいただいたことがお芝居の世界に入ったきっかけです。放送が始まってから、小学生の低学年の子や幼稚園生の子が自分に目を輝かせてくれることに喜びを感じたことを覚えています。 板垣:僕は小さい頃からモデルをやっていたので、始まりは自分の意志ではなかったんです。いろいろと作品をやらせていただくうちにこの仕事を続けるんだろうなと、ゆる~く思っていたので、決定的な瞬間というのは、ないかもしれないです。 ――そうなんですね。共演者の方のお芝居に刺激を受けたなど、改めて役者で頑張っていきたいとスイッチを入れてくれた人との出会いはありますか? 板垣:「ここは今から倫理です。」(2021年)では、精神的に色々と抱えている難しい役を演じました。ドラマが放送されてから、同じような境遇の方からメッセージをいただいて、芝居ってこんなに人の心を癒せるんだと気づいて。自分は、作品と作品を受け取って下さる方を繋げる立場なんだと思ったら、役者の仕事のやりがいを感じました。 高橋:その気持ち、すごく分かります。役者を志したきっかけに繋がるのですが、「仮面ライダー」をやったとき、スーパーで出会った7歳の子とのやりとりが印象に残っています。最初、お母さんが僕に気づいてくれたのですが、お子さんは最初分からなかったみたいで。僕が帽子をとってパッと前髪をかきあげた瞬間、「わぁっ!」って飛び跳ねて喜んでくれたんです。そのとき、子供たちの夢を壊さないように責任を持って頑張ろうと思いました。 眞栄田:スイッチが入ったのは、今回の監督の萩原健太郎さんと「あと3回、君に会える」(2020年)で初めてお仕事させていただいたときです。上手くお芝居ができなくて、死ぬほど悔しい思いをして、もう1度リベンジしたいと強く思いました。そのとき、役者論が綴られた英語の本を貸していただいて。次に作品でお会いすることができた時に返そうと思っていたのですが、この映画でご一緒できて、作品に全力で挑んで、借りていた本もお返しできてスッキリしました(笑)。 ■高橋文哉「『かわいくなりたい!』という気持ちを原動力に」 ――ひたむきに絵に情熱を注げる役を演じた皆さんの自分の強みは何ですか? 高橋:ユカちゃんを演じるにあたっては、「かわいくなりたい!」という気持ちを原動力に頑張れたことです。自分がかわいくなりたいという感情を持ったのは初めてのことでした。女性らしく見えるように減量して。ネイルやエステ、ヨガにも行ったりもしましたし、かわいいものやYouTubeをたくさん観ました。女子旅vlogを見たり、美容ルーティーンを見たり。食事制限をしたので、自分の体を理解できたのも収穫でした。 板垣:目標を決めるのが苦手で、基本的に何も決めずに行きたいなぁと思っているので…なんでしょう…。水みたいにいることが強みですかね(笑)。その瞬間その瞬間を大事にして、水のようにいろんなことを吸収できる自分でありたいです。 眞栄田:強みは、顔面が変わることです! この顔にしたいなと思ったら、その顔に変わるのではなく、役ごとに顔つきが不思議と自然と変わるので、それは強みだと思っています。 板垣:確かに! 今回は最初と成長してからの八虎と顔が違いました! ■また3人で共演するなら“ヤンキー学園もの” ――今回の現場で、共通の話題はどんなことでしたか? 高橋:板垣くんはインドア派で、僕はアウトドア派で、結構タイプが違うんです。お金の使い方も僕は服にあまりお金を使わないけれど、板垣くんは洋服を買うのが好きでしょ? 板垣:そうですね。僕は普段、あまり体を動かさなくてインドアで、文哉はアウトドアだよね。 高橋:じゃあ、たまには外に引っ張り出そうかな。今度、ボーリングに行きましょう! 板垣:行きたい。今はいいねって言っていて、やっぱり家にいるのがいいってなるかもしれないけど(笑)。 眞栄田:家でゆっくりするのもいいよね。でも、キャンプとかグランピングに行くのも好きです。僕はアウトドアもインドアもどっちも好きです。 高橋:郷敦くんとは、物が少なくてシンプルなところが僕との共通点な気がします。僕の部屋、基本モノトーンとウッドな感じですけど、どうですか? 眞栄田:確かに自分もそんな感じかも。部屋は分からないけど、高橋くんと自分は、何か似たようなものを感じる瞬間は多々あって。 高橋:僕も考え方や仕事のスタンスが近い気がしています。もっとお話したいです。今回、話す機会があまりなかったので。 眞栄田:そうですね。見ている世界が同じなのかなって思います。 ――ちなみに次回、また3人で共演するなら、どんな作品がいいですか? 眞栄田:偶然にもみんな髪の色が明るいから、ヤンキー学園ものがそのままできそう(笑)。この3人が揃えば、この世代を代表する学園ものになるんじゃないですか。爆発的にエネルギーを放つような作品がやりたいです! 高橋:いいですね。学園もの。アクションもアリですかね。 板垣:ヤンキーものだけど、僕はあまり暴力をふるったりせず、自分で手を下さない役がいいです(笑)。 ◆取材・文/福田恵子 撮影/梁瀬玉実 【眞栄田郷敦】 ヘアメイク:MISU スタイリスト:MASAYA 【高橋文哉】 ヘアメイク:KUBOKI スタイリスト:鴇田晋哉 【板垣李光人】 ヘアメイク:KATO スタイリスト:末廣昂大