「我々が潰れたら全て終わる」 ── 名古屋おもてなし武将隊・信長の野望とは
「武将隊」という文化が生まれ約5年の月日が流れた。「名古屋おもてなし武将隊」を筆頭に、全国に武将隊が続々と誕生している。東京で1月に行われた武将たちの演武の技量やエンターテイメント性、歴史的観点などを競う「第参回全国武将隊天下一決定戦~宴~」では、伊達武将隊や熊本城おもてなし武将隊など全国11もの武将隊が参加する中、名古屋おもてなし武将隊が大会三連覇を達成した。名古屋の武将隊が、なぜ1番でありつづけるのかを探ってみた。
名古屋の武将隊が天下一であり続ける理由
3年連続で天下一の称号を獲得した名古屋おもてなし武将隊。会場に訪れた観客や関係者の声を聞いても、名古屋が披露した演武は圧巻だったという。ところで名古屋という地は、東京や大阪、京都などと比べて、街としてはどうだろう。観光都市としては今ひとつという評価もある一方で、武将隊は天下を獲り続けている。勝因は一体どこにあるのだろうか。 名古屋おもてなし武将隊の織田信長が、自身の見解を語った。「全国に輩出された大名たちの約7割は尾張や三河(愛知県)の出身なんじゃ。東京も大阪も大都市ではある。じゃが、それを造ったものたちは皆、愛知県出身だということ。そういった愛知、名古屋の者たちが一丸となって武将隊という隊を作り、そこから歩み始めた。故に武将の故郷である名古屋がやはり一番強いんではないか」と。 すでに次の四連覇に向けて走り出している彼ら。「名古屋おもてなし武将隊は武将隊文化の礎。他の武将隊は我らを真似していろんな趣向を凝らし、自分たちの国を盛り上げようとしとる。ということは、我々は見本とならなければいけない。常に一番でなければ」。全国の武将隊ブームの先駆けだからこそ、信長が抱える思いは重く、「我々が潰れたら全て終わる。全国の武将隊は行き先が分からんくなる。責任重大なんじゃ」と真剣な表情を見せた。 責任感と、そして自信にも満ちあふれる信長が、「他の武将隊にあんまり知られたくないんじゃが、確実に我々を抜くことができるというものを見つけたんじゃ」と、彼らを越えるためのヒントをこっそり教えてくれた。 「まず、わしらの背中を見とる以上、絶対に勝てない。追いかけとる時は絶対に勝てない。わしらを越した何か先のものを目的として走り続けていたら、勝てる可能性はある。これはわしが戦国時代、学んだこと。武田信玄を倒すために、倒したその先にある天下布武を目指しておった故、結果、武田信玄を倒せただけのことなんじゃ」と。この助言は全国の武将隊にとってはチャンスとなりそうだ。 信長は「本当は知られたくなかったが言ってしまったな…」と言いながらも、「我らは皆が想像するはるか上をいけば問題ない」と余裕すら見せた。