米軍に忖度?基地おひざ元の市役所が司令官との面談記録残さず 表敬時のやり取り不明「市民に疑念」
京都府京丹後市丹後町の米軍経ケ岬通信所の新司令官が中山泰市長を表敬訪問した際、市は面談内容を記録していないことが、市への情報公開請求で分かった。中山市長は面談後の報道関係者からの取材に対し、交通安全の徹底や騒音対策の要望などを伝えたと説明してきたが、実際に何をどのように要望したのかを把握できる文書がない状況だ。専門家は「記録がなければ適切にやりとりしているか分からず、責任ある対応をしているとは言いがたい」と指摘する。 【写真】京丹後市にある米軍経ケ岬通信所 ■米軍側が非公開を要請 2017~23年に表敬訪問した新司令官と市長の面談内容が分かる記録や音声を請求した。うち21~23年分の文書が開示されたが、3年とも面談記録ではなく、米軍関係者の交通安全対策▽発電機稼働時などの騒音防止対策▽地域住民との交流―など、市長が司令官に伝える予定の要望や提案を箇条書きにしたものと、面談をまとめた広報誌用の原稿案だった。 面談内容を記録しない理由について京丹後市基地対策室は、司令官や副市長、区長らが出席する「安全・安心対策連絡会」を年4回開いていることを挙げる。「連絡会の場で住民の要望を伝え、記録も取っている」とし、それで十分との見解を示す。表敬訪問時の面談は米軍側から非公開を要請され、市が受け入れていることも理由に挙げた。 表敬訪問時の司令官と市長の面談を非公開にする理由について、在日米軍司令部広報部は「面談の中で秘密区分の情報を取り扱う可能性もあるため」としている。 情報公開に詳しいNPO法人「情報公開クリアリングハウス」(東京都)の三木由希子理事長は「記録を取ることで市が面談の場でどのような対応をし、どんな責任を果たしてきたかが明らかになる。記録がなければそのやりとりを確認できない。市が責任ある対応をしていたのかも分からず、市民に疑念を抱かせる」と指摘する。 ■米軍と首長とのやり取り、市民には闇の中 米軍基地のある全国の自治体を司令官が表敬訪問し首長と面談した際は、ほとんどの自治体が記録を残していない。記録を取っている自治体も情報の開示はしておらず、自治体トップと司令官の実際のやりとりを市民が知るすべはないのが実情だ。