芸術の秋に観たい、映画館に行きたくなる話題作3選!
フランス映画屈指のミューズが、独創の道を拓いた冒険と真価。 『リュミエール』
氷の冷たさと炎の激越さの混交を1950~60年代の大物たちに愛された反逆的スターのジャンヌ・モローは、70年代、希少だった女性映画監督の道に進出。彼女の別の顔を照らす小特集「映画作家ジャンヌ・モロー」が秋を彩る。監督デビューとなる日本初公開の本作は、モロー演じるサラほか、4人の女優仲間が郊外の瀟洒な家で過去を語り合う会話劇に始まる。映画は1年前のパリの夏に遡り、撮影現場や合間の歓談、撮影後のミニパーティやお忍びデートを、いま眼前の出来事のように巡る。ドイツから来たブルーノ・ガンツ、米国から来たキース・キャラダイン、と後の名優扮する若くアブない色男と羽を伸ばしたり、女優たちは痛手を負いつつ、笑えてくるほどタフであけすけ。
『リュミエール』
監督・脚本/ジャンヌ・モロー 1976年、フランス映画 102分 配給/エスパース・サロウ 10月11日より、新宿シネマカリテほか全国にて順次公開 https://gaga.ne.jp/lumiere!/ *「フィガロジャポン」2024年11月号より抜粋
text: Takashi Goto