バレー久光製薬4連覇 中田久美監督「選手に感謝」と涙
「全員が戦力」今季の久光の強みのひとつ
勝ちきることができる、強みのひとつが即戦力としての選手層。メンバーチェンジしても「力が落ちない」ようになったこと、つまりは久光が目指す「全員が戦力」になってきたということだ。 準々決勝のデンソー戦。2セット先取した後の第3セット終盤、相手に先行され重苦しいムードが漂いかけた。もしこのセットを落としてしまうと……2セット先取からひっくり返されたあのデンソー、岡山、日立戦の3連敗が頭をよぎる、そのとき、中田監督が動いた。21-21の大詰めの場面で、エース長岡望悠を下げ野本梨佳に、セッターの古藤千鶴を今年デンソーから新加入した栄絵里香に2枚替え。そこから停滞しつつあった空気が動き、久光がブレイク。野本もアタックを決め、新鍋が上手さを見せてそのまま逃げ切った。 決勝戦でも第3セット中盤16-15と競った場面で同じ2枚替え。流れを呼び寄せ、替わったメンバーで21-17と抜け出し、23-20とリードを保ちながら長岡、古藤にチェンジ。優勝を決めた。 「2枚替えは戦術的。力が落ちないので。セッターもいいし入れ替えても、計算して繋げられる、同じことができるのはいいこと。今季はここまでけが人を出していない、けがをしていた選手もほぼ完治していつでも使える。それが一番大きいかな」と中田監督。ミドルブロッカーの岩坂名奈も「途中から入るのは大変だけど、みんながいい準備をして入ってくれるからやりやすい。“全員が戦力”という感じがより出てきています」と手応えを感じていた。 昨季、V・プレミアリーグ女王の座を奪われてから、その悔しさを胸にもう一度「自分たちのやるべきこと」は何か、そのためにどう動けばいいのかを考え、どんな試合でもどんな状況でも当たり前のことができるようにと練習を重ねてきた。「当たり前のこと」とは基本を大事にしてシンプルに「久光のバレーをする」「久光のテンポで点を取る」、相手どうこうは関係なく、常に久光が目指すバレーをし、勝つことだ。 中田久美監督が腰痛(ヘルニア)でチームを離れていた間も、「選手一人ひとりがもっと成長して自立しよう」「強くなれるチャンス」「心配にならないように頑張ろう」とそれぞれが役割を果たせるよう課題に取り組んできた。