バレー久光製薬4連覇 中田久美監督「選手に感謝」と涙
リーグV奪還を目指す
天皇杯・皇后杯を制し、NECに雪辱を果たしたが、久光にはリーグでのV奪還という大きな目標がある。久光は11月の3連敗の後は7連勝と調子を上げてきた。首位で年越し。技術面でみてみると、強みである攻撃、ブロックが目立ってきた。数字で見ても、ここまでアタック決定本数、ブロック決定本数(1セット当たりも)、サーブレシーブ部門でリーグ1位。
個々では、「大事なところで点を取りたい」と常々話す長岡望悠、石井優希、新鍋理沙がそれぞれ総得点で外国人選手に次ぐ4位、5位、6位とチームを引っ張っている。ブロックでは岩坂名奈が決定本数(1セット当たりも)2位。 ディフェンスでも、ディグでは新鍋を中心に、今季途中から先発リベロの戸江真奈も必死にくらいついて攻撃につなげている。サーブレシーブでは新鍋が全体で1位(成功率70.8%)、もう一人の石井も、個人ランキング29人の中で誰よりも多い699本を受けながら7位と健闘(成功率63.8%)。新鍋の受数が219本ということからも、相当狙われていることがわかる。「優希(石井)、がんばってますよね。波はあるけど、そこは我慢して使い続けたい」と中田監督。 実は、石井は全日本での迷いをひきづったまま戻り、その後のアジアクラブ選手権でも結果を出せず、リーグに入ってからもゲーム勘がなかなか戻らず、暗い表情をしていたという。そんな石井をみかねて中田監督が2人で2時間以上話をした。 「“数字では判断しないから。あなたの頑張りは私が一番見ているから”っていう久美さんの言葉が心にグサッと来ました」。チームを引っ張れるような存在になりたいと石井自身も変わろうとしている。 「チームが落ち着いてきた。やっと形になってきた感じ。望悠(長岡)もよくなってきてる。力の抜きとかわかりだしてきたのかな。インパクトを与えられるような選手になってきた。野本も今シーズンとてもいい。それからやっぱり理沙(新鍋)が大きいですね。一番安定している、頑張ってくれている。今後もやることは何も変わらないですよ。当たり前のことを当たり前にやるだけ。それが一番難しいんだけどね」と中田監督。 「途中の3連敗はほんとにきつかったんですけど、みんなが一つになれるチャンスでもあったから。その負けを無駄にしないで1戦1戦大事にチームとして戦っていきたい。自分としてはまずはディフェンスをしっかり、崩れないように。苦しいときに自分でも点数を取ったりチームを一つにできるようにやっていきたい。自分たちのやるべきことをしっかりできたら結果は必ずついてくると思うので」と新鍋。「負けたくありません」と石井も言い切った。 雨降って地固まる。「リーグチャンピオン奪還」へ。久光の空がぐっと明るく晴れてきた。